社民党が統一地方選で、リベラル勢力の共闘による存在感の発揮に必死だ。党勢衰退に歯止めがかからず、公認候補の擁立がままならない実情が背景にある。安倍政権が進める集団的自衛権の行使容認や憲法改正の動きが具体化する中、「平和と護憲」が党是の老舗政党は正念場を迎えている。
「党員の高齢化で組織基盤が脆弱(ぜいじゃく)になり、候補の発掘が極めて難しい」
社民党県連合の関係者が明かす通り、今回の統一選は同党公認候補の擁立伸び悩みが目立つ。3日に告示された41道府県議選、17政令市議選の公認候補は、前回より15人少ない46人。県内では、相模原市議選(南区)に立候補したベテランのみ。県議選は前回に続き擁立できなかった。
後半戦では藤沢市議選に重鎮が立つが、前回擁立した平塚、茅ケ崎市議選でも公認を立てないことが濃厚だ。統一選に向け、党のホームページなどで候補を募ったが、応募はなかった。
党勢は長期低落傾向で、国会勢力も政党要件ぎりぎりの衆参5人。神奈川では、昨年の衆院選で結党以来初めて、小選挙区に一人も候補を立てられなかった。「今や20、30代の意識に社民党は存在していない」(県連合)との危機感は統一選でも同様。元県議で県連合幹事長を務めた小泉親昂さん(69)は「労働組合との関係も希薄になり、党の体力が落ちている。新たな安全保障法制の動きにやきもきするが、気持ちだけではどうにもならない」と、歯がゆさを感じている。
根本的な打開策が見いだせない中、県連合が力を入れるのが、社民の主張に共鳴する無所属候補の推薦だ。県連合幹部は「地方から安倍政権に打撃を与えるためには、リベラルのウイングを広げる戦術が必要」と説明。横浜や藤沢、小田原などの市議選で7人の重点推薦候補を決めた。
社民党員でもある重点推薦候補の一人は、民主党県連などの推薦も得て選挙戦に臨んでおり、「党の枠にとらわれず、同じ考えの勢力と連携して頑張りたい」と意気込む。県連合代表の福島瑞穂副党首も「安倍政権の暴走を止めるため、リベラル勢力が地方議会で増えるよう、公認、推薦関係なく全力で支援する」と力を込める。
来夏には福島氏らが改選となる参院選が迫り、党存亡を懸けた正念場は続く。安保法制の動きや改憲勢力の台頭を踏まえ、県連合関係者は言う。「今こそ、頑張らないといけないとき。統一選を通じ、改憲が人ごとになっている若者らに訴えを強めたい」