
統一地方選第1ラウンドで県議選と3政令市議選が告示された3日、川崎市議選(定数60)に立候補した87人が、“号砲”とともに駅頭や住宅地などへ駆けだした。県内屈指の人口増加エリアである中原区や高津区は、定数を大幅に上回る候補者が乱立する最激戦区。ターミナル駅の武蔵小杉や武蔵溝ノ口には、初日から入れ替わりで選挙カーが立ち寄り、有権者に支持を訴える声が響いた。
朝晩は通勤客、昼は買い物客が絶え間なく行き交う武蔵小杉駅南口ロータリー。近年、相次ぐ大型商業施設の誕生でにぎわうエリアが、中原選挙区(定数10)の新たな演説スポットに加わりそうだ。
「人口増が最大のテーマ。住みたい街から住み続けたい街へどう成熟させるかが問われている」。こう話す現職は、第一声の場で独自の政策を訴えた。選挙初挑戦の新人も「まずは顔や名前を知ってもらいたい」と繰り返し立ち寄る。
市内7選挙区で最多の16人が出馬。2日現在の有権者数は19万6196人で、4年前に比べ8570人(4・57%)も増えた。駅前のタワーマンションなどに転居してきた、いわゆる「新住民」とどう向き合うかは特有の課題でもある。
「正直、動向をつかみ切れていない。どの候補も苦労しているはず」と、ある現職は明かす。別の現職は「乗り換え客が多く、駅頭で有権者かどうか見定めるのは難しい。ネットを通じたアプローチがより重要になるのでは」と話した。
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9議席をめぐり、15人が名乗りを上げた高津区。JR線武蔵溝ノ口と東急線溝の口の両駅前は、届け出を済ませた候補が朝から続々と入り、熱気に包まれた。
ペデストリアンデッキで出陣式を行った現職の女性候補は、足を止めて演説を聞くサラリーマンや主婦らに、「長年の実績と女性目線で頑張っていく」とアピール。他党の幹部が応援に駆け付けると、陣営から気勢が上がった。
スーパーやファストフード店が立ち並ぶ一角でマイクを握った現職は、「激戦区なので駅頭の場所取りは早い者勝ち。今朝は5時に来た」と苦笑い。議員の政策立案能力向上や子どもの基礎学力アップのための施策を訴えた。
若さを前面にアピールする20代の新人は、非正規雇用者や若者の自立支援の必要性を強調。「候補者が多いのは健全なこと。無投票になれば冷めた目で見られる。自分が選挙に出ることで、若い人の関心が高まるといい」と意気込んだ。
