任期満了に伴う茅ケ崎市長選は、19日で告示まで1カ月となった。現職の服部信明氏(53)に、ともに新人で会社役員の鈴木毅氏(59)と大学講師の桂秀光氏(58)=正式表明順、いずれも無所属=が挑む三つどもえの構図が固まってきた。前回のように市役所本庁舎の建て替え問題といった大きな対立軸はないが、4選出馬する現職の多選が争点の一つになりそうだ。
服部氏が出馬を表明したのは今年2月。前回2011年より1カ月以上遅れた。決断しきれなかった理由は、03年の市長選に初出馬した際に掲げた「任期は3期12年以内」という公約だった。
それでも立候補を決めたのは、中核市制度の見直しや「道の駅」整備など「まちの変化に継続的にスピード感を持って対応するため」と説明。「最後の出馬」とも強調した。「公約と市の状況を照らし合わせながら、12年で市政が停滞していないか確認するのに時間がかかった。周囲の声も聞き、多選の弊害はないと考えた」と経緯を明かした。現在までに自民、民主からの推薦が決まっている。
服部氏の4選出馬を「あまりに長い」と批判し、名乗りを上げたのが鈴木氏だ。00年の衆院選に15区から民主党公認で出馬し落選、その後も県議選に横浜市内の選挙区から立候補している。今回の出馬では、表明まで支持者らとの調整などに時間をかけた。
鈴木氏は「行政を知りすぎると、部課長に直接指示することもあるだろうが、そのことで優先課題が入れ替わることもあるはず」と多選の弊害を指摘。市の財政状況についても「借金はうなぎ上り。15年度も『箱物』ラッシュで、市民に必要なサービスができなくなる」として、公共施設整備を見直した上で「小児医療費助成の対象拡充や若者の就労支援などに財源を回したい」と訴える。
03、07年にも出馬した桂氏も、「長いと市民感覚が薄れる」と現職の4選を批判。姉妹都市協定締結のため、市長と副市長が同時に海外出張したことも危機管理の面から問題との認識を示し、「無神経で、傲慢(ごうまん)だ」と指摘する。
市の課題としては「医療体制が遅れている」とし、「市立医科大を創設して改善させたい。医師不足で財源の豊かな外国からも留学生を受け入れるなどすれば費用も賄える」と主張。鉄道駅の整備など交通網の拡充も訴えている。
市長選は4月19日告示、26日投開票の日程で行われる。
【神奈川新聞】