
統一地方選の皮切りとなる知事選は、いずれも無所属で、再選を目指す現職の黒岩祐治氏に新人の元神奈川労連副議長の岡本一氏が挑む構図で舌戦が繰り広げられている。4月12日の投開票に向け、県内各地で支持を訴える両候補の横顔を紹介する。
■ビジョン掲げ突進 黒岩祐治氏(60)
「大きな方向性を示し、夢を与えて皆を引っ張る。ビジョンを掲げたら、ぶれずに信念をもって突き進む」。自身が描く理想のリーダー像を実践し、初めての自治体運営に向き合ってきた。
局長や部課長ら幹部だけでなく、さまざまな意見を聞いた4年間。本音を引き出すため、職員の酒席にも頻繁に顔を出す。若手の意見も重用し、県庁公開事業などにつなげた。
30年過ごしたテレビ局と比べ「若い人の意見が聞こえず不満だった」が、ここ数年は斬新なアイデアが届くようになり「県庁の文化が少しずつ変わってきた」と手応えを感じている。
兵庫県出身。知事就任後、中学生時代に「すごい場所」と記憶していた三浦市・城ケ島を約40年ぶりに再訪。観光客の少なさに驚き、往時のにぎわいを取り戻そうと横浜、鎌倉、箱根に次ぐ「第四の観光の核」づくりを提唱した。
趣味のダイビングは葉山や逗子、真鶴などで潜る機会があり、「四季がある神奈川の海」の魅力を再発見、世界にPRするプロジェクトを始めた。
3年半前の体重増をきっかけに始めたジョギングは、毎朝の日課に。「海から昇る太陽に向かって走る爽快感がたまらない」。休日には、妻とミュージカルや映画などを楽しみ、エネルギーを充電する。60歳。
■弱い立場寄り添う 岡本一氏(69)
「25条と9条が暮らしの中で生きる県政に切り替えたい」。立候補を決意した理由をこう語る。憲法の二つの条文にある崇高な理念は、長く打ち込んできた労働運動と平和運動の中でも追い求めてきたものだ。
民間会社を経て、1989年に神奈川労連の結成に関わり、副議長も務めた。解雇されたパートのために職場や職安と交渉し、亡くなった労働者の労災を求めて奔走した。最低賃金闘争の支援にも取り組む。
「すべての国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」-。25条の精神を胸に刻み、弱い立場に寄り添ってきた。県政では「リストラに歯止めをかける県条例を実現したい」と話す。
終戦の年に中国で生まれた。引き揚げ時の混乱で生死の境をさまよった生い立ちから「二度と戦争をしてはならない」。現政権については「自衛隊を海外に送り出そうとしており、絶対に許せない」と手厳しい。
若い頃に共働きし、保育園に預けて2人の息子を育てた。いまの保育園事情は「当時より悪化している」とし、「安心して働きながら子育てができる神奈川」も目指す。
趣味は水泳で、毎日スクワット120回と1万5千歩のウオーキングもこなす。名前は、出身の「岡山県」と「日本一」を組み合わせたペンネーム。69歳。
【神奈川新聞】