県議選横浜市栄区選挙区は、定数1をめぐり、前回も顔を合わせた、みんなの改革・現職と自民党・新人による一騎打ちの構図が濃厚だ。2人とも、国政で火花を散らす国会議員と二人三脚で支持拡大に努め、衆院選の代理戦争の様相も呈す。1人区になってからは、数百票の僅差で勝敗が決まる紙一重の戦いが繰り広げられており、「栄の陣」は今回も、熾烈(しれつ)な椅子取り合戦となりそうだ。
■浅尾ブランド■
「おはようございます。いってらっしゃい」-。早朝のJR本郷台駅前。トレードカラーのオレンジ色のコート姿で通勤客に声を掛けるのはみんなの改革・楠梨恵子氏(34)。すぐ近くでは、栄区を含む衆院4区選出の浅尾慶一郎衆院議員も街頭活動に余念がない。
楠氏は前回、浅尾氏が中核を担ったみんなの党から出馬し、初当選。路線対立で同党が昨年11月に解党した後も行動を共にし、浅尾氏が代表に就いたみんなの改革に参加した。「政権の大物が来ようと、地元で人気があるのは浅尾さん。一緒だと反応の良さがまるで違う」
昨年の衆院選で、浅尾氏は無所属での出馬ながら、自民候補らを寄せ付けず議席を守った。その「浅尾ブランド」は楠氏のよりどころ。浅尾氏も「野党勢力を結集して、衆院選同様、必ず勝つ」と全面支援の構えだ。
■「政権の要」も■
「国、県、市が一体となって頑張れる体制を、栄区でつくってほしい」。今月5日夜、公務の合間を縫って自民・志田一宏氏(31)の決起集会に駆け付けたのは菅義偉官房長官。自民は栄区の県議選で前々回から連敗しており、「議席奪還は当然」(竹内英明県連幹事長)と意気込む。
今回は県議会で単独過半数獲得を目標に掲げ、党本部も神奈川を重点県に指定。1人区の勝敗が全体の動向を決するだけに、「政権の要」の早々の来援はいかに同区を重視しているかの証左だ。
志田氏は「言い訳のできない戦い。前回は右も左も分からなかったが、今回は違う」と、リベンジに燃える。衆院選で浅尾氏に敗れ、比例復活した山本朋広衆院議員も朝夕、志田氏の街頭活動に駆け付け、懸命に支持を訴える。「官房長官からは常にハッパを掛けられている。とにかく結果がすべてだ」
■継続か刷新か■
栄区は1人区となった2003年選挙から、3回連続で大接戦が続いている。当選と次点の差は03年はわずか352票。最も開いた前回も1200票余に過ぎない。当選者も03年自民、07年民主、11年みんなと、選挙ごとに変わり、関係者は「予断を許さない」と口をそろえる。
三つどもえの戦いだった前回と異なり、今回は民主が候補擁立を見送っており、前回楠氏に迫った民主票の行方が鍵を握りそうだ。