
9日に投開票される大井町長選は元町議の3人が出馬した。5期20年続いた現職の町政をいずれも基本的には継承する意向で、大きな争点や対立軸もないため盛り上がりに欠けている。有権者に町の課題やニューリーダーへの期待を聞いた。
町が活性化を進めている丘陵地の相和地区。76歳の男性は「バスの本数が少ない」と地域の課題を挙げた。町は中学生の登下校時刻に合わせたバスを運行するなど、対策を進めているが、高齢者対策とセットにすることを提案した。
男性はバス会社の経営を考えれば、利用者が少ないままでは本数を増やせない事情も承知している。「私は80歳で免許返納を考えている。しかし、その後、車がない生活をどうすればいいのか」と地域の先行きに不安を募らせた。
同じ相和地区でも、60代の女性はこれまで現職を支援してきたが、最近は停滞感を抱いていた。新人3人による争いに、「町政に新しい風を吹き込んでほしい」と期待する。
町長選の3候補は同じ金子地区に事務所を構えた。同じ地区内でも自分が住む地域から候補者が出ていないと関心がない、という有権者も目立った。
73歳の女性は「開成町は(あじさい祭りなど)町に客を呼び込む仕組みをつくっているが、大井は町の人だけが盛り上がっている」と手厳しい。犬の散歩をしていた53歳の男性は10年前に町外から移住したが、「いつまでもよそ者扱いされる。こんな風土では町政に関心もなくなる」と意識の変革を願った。