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わがまちの行方 2018ミニ統一選
二宮町長選(下)学校統廃合 コンパクト化見据え

選挙 | 神奈川新聞 | 2018年10月31日(水) 16:09

中学校から派遣され小学生を相手に英語の授業を行う中西教諭(右から2人目)=二宮町百合が丘の一色小学校
中学校から派遣され小学生を相手に英語の授業を行う中西教諭(右から2人目)=二宮町百合が丘の一色小学校

 町立小中学校での一貫教育を実現しようと、二宮町で今、町立学校(小学校3校、中学校2校)の統廃合を含めた教育改革に関する議論が加速している。

 町教育委員会は2022年度の一貫教育導入を目指し、7月に保護者や学校関係者による研究会を発足。18年度中に議論をまとめる方針だ。

 一方、県からの後押しも受け、中学校の教員を指導研究員として小学校に派遣する試みもスタート。実際に中学校の教員が小学生に英語を教えるなど、将来的な小中の教育連携を見据えた模索が続いている。

 「病院で働いているのは誰でしょう」。町立一色小(同町百合が丘)で10月にあった6年生の英語の授業で、中西美保教諭は黒板に並べたカードを見せながら35人の児童に英語で問い掛けた。

 カードをめくり医者の絵を示すと、児童は元気よく「ドクター」と答える。この日のテーマは「職業」。医師や警官などが描かれたカードを使いながら、児童が英語をしゃべるよう促していく。

 中西教諭は町立二宮中に勤務しているが、中学校の授業に携わる傍らで週4日、町内3校の小学校も巡回している。

 3年生から6年生のクラス担任とそれぞれ打ち合わせし、授業内容を一緒に組み立てていく。将来的な小中学校の教員による連携も見据えた取り組みだ。

 「中学校でやっている授業を小学生にやってもうまくいかない。児童との関わり合いは担任の先生の方が深い」。中西教諭は連携の意義を強調する。授業は児童からも好評で、一色小6年の露木里帆さん(11)は「ゲームみたいで分かりやすくて楽しい」と笑顔を向ける。

 小中一貫教育を導入しようとする背景にあるのは、深刻な少子化だ。1980年代に約5千人いた小中学校の児童生徒数は、本年度は1862人。2050年には900人を下回る。


 町教委が10月、小中学校5校を段階的に統廃合し、50年以降、小中一貫校1校に集約する案を学校関係者らの研究会に提示。町教委は「地理的にコンパクトな町なので1校だけになっても、通学距離は国の基準(小学校で4キロ以内)を満たすことができる」と理解を求める。

 当面は校舎を現状のまま別々に使いながら小中一貫教育の体制をスタート。時期は未定だが、山西小(同町山西)と一色小を統合する。町教委は30年以降に小中一貫校2校に再編する青写真を描くが、研究会では「児童生徒の数だけで(統廃合を)判断している」と反発する声も上がる。

 町は、老朽化する町役場庁舎を移転し複合化するなど学校以外の公共施設66カ所の再配置も見据える。町幹部は「身の丈にあったコンパクトな町にしなければいけない」と説明する。

 ただ、町民が不便を強いられる可能性はある。山西小に通う小学5年の次男を持つ男性(49)は「仮に一色小と統合されたら、まず心配なのが通学。今は徒歩5分だったのが30分になる。でも、保護者の間でも統廃合の話はほとんど知られていない」と明かす。

 町が9月に保護者を対象にしたアンケートで、約6割が小中一貫教育の実施について「知らなかった」と回答。町教委は19年度から保護者への説明を実施していくとし、本格的な議論はこれからだ。

 この保護者の男性はこう訴える。「児童数が減っていくのは仕方がない。それなら二宮町でしかできない教育、若い世代がこの町に移り住みたくなるような教育を目指してほしい」

 
 

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