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2018愛川町長選(上)水源地跡地 活性化鍵握る利活用

選挙 | 神奈川新聞 | 2018年6月9日(土) 11:50

利活用を巡って町民の関心が高い「横須賀水道・半原水源地」の跡地=愛川町半原
利活用を巡って町民の関心が高い「横須賀水道・半原水源地」の跡地=愛川町半原

 多くの緑に囲まれ、愛川町を流れる中津川のほとりにある横須賀市の水道施設「横須賀水道・半原水源地」(同町半原)の跡地。水需要の減少などで2007年に取水を終えた。以来、町は跡地の利活用を探ってきたが、今年2月に市から買い取る上での基本事項をまとめた協定を締結。町の将来を占う重要テーマとして本格的に議論の俎上(そじょう)に載せられることになった。

 同水源地は、中津川から取り込んだ水を53キロ離れた同市の浄水場まで送っていた水道「半原系統」の上流側の施設。敷地面積は約3万5200平方メートル。横須賀の軍港などで使うために引かれた旧海軍の軍用水道が起源で、戦後は役割を変え、横須賀市民の上水道として市民生活を支えた。施設の老朽化などもあり、07年に取水を取りやめ、15年2月に廃止となった。

 跡地活用を巡っては横須賀市が「市から遠隔地にあり、市民活用を促進するのが難しい」と判断した一方、愛川町は「町全体の再活性化につなげる新たな拠点づくりに生かしたい」と決断。国の交付金も活用した調査を進め、両者で売買交渉を重ねてきた。その間、住民らによる「愛川地区まちづくり協議会」が住民アンケートを実施したり、観光・産業振興の必要性を訴える提言書を出したりするなど住民側の関心も高まっていった。

 官民で機運が高まる背景には「糸の町」としてかつて撚糸(ねんし)や織物の産業で栄えた地域の衰退に対する大きな危機感がある。町議会関係者は「半原だけでなく、町全体の再活性化につなげる起爆剤にしないといけない」と主張する。

 小野澤豊町長は協定締結後、「町民の子や孫といった次の世代に誇れるような形に活用しながら(新たな拠点として)つくりあげていきたい」と強調。18年度一般会計当初予算でも、計画の実現に向けて「半原地域における観光拠点・産業連携拠点づくり」として用地取得(約9千万円)を含め1億1449万円を盛り込んだ。

 ただ、利活用に機運が高まる一方で、不安を口にする町民も少なくない。60代女性は「まず(水道施設の一部の)巨大な沈殿池をどうするのか。解体したり、新しい施設を造ったりするのにどれだけの費用がかかるか。人口減少や高齢化などの課題もある中、町民の負担はどれほどになり、そして町は本当に良くなるのか」と投げ掛ける。

 ゆえに、あるベテラン町議はこう言い切る。「かつてない大事業。町政の試金石となるのは間違いない」

   ◇

 任期満了に伴う愛川町長選は12日に告示、17日に投開票される。町が抱える課題を見つめた。

 
 

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