安倍晋三首相(自民党総裁)が20日、衆院選公示後初めて県内に入り、藤沢駅前(藤沢市)と小田急線本厚木駅前(厚木市)で街頭演説した。首相は経済政策の説明に最多の4割の時間を費やし、北朝鮮や少子化などの問題に取り組む必要性も強調。「国民の命を守り、日本の未来を切り開くことができるのは自民、公明の連立与党だ」と政権継続へ支持を呼び掛けた。一方で、自民党が公約の重点項目の一つに据えた憲法改正については触れなかった。
演説時間は藤沢が午後2時半ごろから約20分間、本厚木は同3時40分ごろから約15分間。首相は両駅の演説冒頭で、重点項目のトップに掲げた北朝鮮問題を取り上げ「北朝鮮の脅しに屈せず、国際社会と連携しながら圧力をかけなければならない」などと、約2割の時間を割いて訴えた。
最も時間を費やしたのは経済政策。重点項目である景気回復と国民所得増、地方創生などの具体策を説明し、「三本の矢で挑戦し、GDP(国内総生産)は過去最高の543兆円に、株価は21年ぶりの高い水準になった」と実績を強調した。
その上で「次は少子化への挑戦だ」と述べ、重点項目である教育無償化に言及。約1割の時間を使い「2020年度までに保育園と幼稚園の無償化を実現する」と訴えた。
野党批判は全体の1割弱。民進党から分かれて誕生した希望の党と立憲民主党を念頭に「この選挙の前に、新しい政党が看板を掛け替える形で生まれた」「選挙のたびに(所属政党の)看板を変えようとする候補者がいる」などと揶揄(やゆ)した。
重点項目六つのうち、唯一、憲法改正は触れなかった。首相は公示前の5日、小田急線向ケ丘遊園駅前で演説した際も言及しておらず、他項目と取り上げ方の差異が際立っている。