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京都大大学院教授・岡田知弘氏
時代の正体〈531〉地方創生を問う 自治逆行の上から目線

選挙 | 神奈川新聞 | 2017年10月6日(金) 12:47

岡田知弘京都大教授
岡田知弘京都大教授

 〈道州制の導入に向けて、国民的合意を得ながら進めてまいります。導入までの間は、地方創生の視点に立ち、国、都道府県、市町村の役割分担を整理し、住民に一番身近な基礎自治体(市町村)の機能強化を図ります〉

 この一文にこそ、「安倍首相の本音と目指す姿が端的に表れている」と京都大大学院の岡田知弘教授は見る。「『地方創生』は『道州制』の実現に向けたプロセスにすぎない」

 今回と同様に突発だった2014年の解散総選挙で自民党が掲げた「政権公約2014」。着目した一文は、地域の活性化を図り、人口減少に歯止めをかけるといった目標を打ち出した「地方創生・女性活躍推進」の欄にはなく、「政治・行政改革」の一項目として記されていた。

 少子高齢化と人口減を背景に「自治体消滅」の危機をあおり、その処方箋として喧伝(けんでん)されてきた「地方創生」。新たな交付金制度を設け、表向きは全国の自治体に創意工夫を促す政策ではあるものの、「構造改革路線の一つの手法。安倍首相にとっては、財界の悲願でもある道州制へのつなぎでしかない」。

 14年の公約には、こうも掲げられていた。〈地方創生を規制改革により実現し、新たな発展モデルを構築しようとする「やる気のある、志の高い地方自治体」を、国家戦略特区における「地方創生特区」として、早期に指定することにより、地域の新規産業・雇用を創出します〉

 経済性に軸足を置いた「選択と集中」の論理。透けるのは、「本来の自治体運営に求められる視点とは異なる利益追求、効率重視の発想」だ。「国民の目線でなく、上からの目線。それはまさに道州制に通じる考え方と言える」

専権事項


 実際、自民党がこれまでに検討してきた道州制の定義や基本理念では、国家機能の集約と強化を図る一方で現行の都道府県制を廃止し、より広い区域を単位とした道と州については「国際競争力を持つ地域経営の主体」と位置付けている。そして、市町村の区域をベースとする「基礎自治体」が、都道府県と市町村から引き継いだ住民生活に密着した事務や事業を担う。

 12年9月にとりまとめた道州制基本法案の骨子案では、国の役割を「国家の存立の根幹に関わるもの、国家的危機管理その他国民の生命、身体及び財産の保護に国の関与が必要なもの」などと規定している。

 念頭にあるのは外交や防衛だ。岡田教授は行間を読む。「役割分担で例えば、沖縄の基地問題は国の専権事項なので、地方は口を出せないという事態が生じかねない」

 浮かんでくるのは、地方分権とは真逆の、地方自治の本旨について定めた憲法92条に反した状況。自治体に独立性を認め、地域の問題解決を委ねる「団体自治」、そのために住民の意思と責任が欠かせないとする「住民自治」という本来あるべき両輪が損なわれ、「国と地方が垂直的な、明治憲法下の上意下達の関係に戻ってしまう」と指摘。さらに懸念を深める。「それは『戦争ができる国』へ道を開くものだ」

 安倍政権は前回総選挙以降の3年間で安保関連法を数の力で成立させ、改憲への地ならしも推し進めた。こうした強権的な手法に、原発や武器の輸出にも前のめりな経済政策が加わり、「『富国強兵』への布石が次々と打たれた」と岡田教授は危機感を募らせる。国のかたちを大きく変える政策の中で、道州制は欠くことのできないものになっている。

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