「実証実験を足掛かりに、ロードプライシングの実現へ積極的に取り組んでいく」
国土交通省が、渋滞緩和や観光地に乗り入れる車へ課金する制度を検討するために行う実証実験。先月、鎌倉市がその実施地に選ばれた。松尾崇市長は「渡りに船」とばかりに、選定結果を喜んだ。
市が導入を目指す「ロードプライシング」は、特定の道路の通行料を車両に課すことで交通量を抑制する施策。20年ほど前にも導入を検討する議論が交わされたが、商業関係者らの反対などで頓挫し、4年前から再び検討を始めた経緯がある。
ロンドンやシンガポールでは導入されているが国内では例がなく、当然ハードルは高い。市は当初、今秋までに独自に社会実験実施を予定していたが、▽道路無料公開の原則の下で法的に課金が可能か▽課金する場合自動料金収受システム(ETC)を活用できるか-といった課題解決のめどが立たず2019年度へ先送りしていた。
このタイミングで持ち上がったのが実証実験だった。具体的な実験内容は決まっていないが、鶴岡八幡宮周辺など市中心部で、ETCや街頭カメラで収集した交通量などのデータを基に人工知能(AI)が混雑する時間帯や場所を予測。ロードプライシングの検討に必要なデータを収集したい市は「国としても観光地の渋滞対策の検討を前向きに進めようとしている」と期待を寄せ、本年度、独自の交通シミュレーションも計画している。