任期満了に伴う川崎市長選(10月8日告示、同22日投開票)で、吉沢章子市議(53)=多摩区、4期=が20日、無所属で立候補する考えを表明した。同日、所属していた自民党市議団を離団し、会見で「いま必要な政策をスピード感を持って実現するために決断した」と語った。
吉沢氏は「一丁目一番地は災害対策。首都直下地震に備え、4年後と年限を切り施策を選択し集中していく。災害死ゼロを目指す」とし、市民への啓発などに注力する考えを示した。
もう一つの柱が財政問題。子育て施策を最重視する福田紀彦市長(45)の下で保育所整備や運営費補助など待機児童対策費が4年間で約1660億円、中学校給食実施で約446億円を投じられた点を挙げ、「大きな数字でアンバランス。阿部孝夫前市長は行革で財政健全化を図ったが、福田氏の手法があと4年続けば財政がもたない」と指摘した。
その上で待機児童対策予算を抑制し、保育所を利用しない世帯を含め、子育て施策全体の充実に振り向けていく考えなどを示した。
同氏は1級建築士で建築事務所を経て、2003年に自民党初の女性川崎市議として初当選。今年4月から党市議団長を務めた。
市長選を巡っては、5月に市議団内で立候補の意欲を表明。しかし同党市連は選考作業の末、「党の政策実現のため勝てる候補を応援する」などの理由から再選を目指す福田氏の支援方針を8月に決定した。
党の決定に反する出馬について、吉沢氏は「市政に懸ける思いが勝った」と説明。立候補に伴う自動失職を選ぶ見通しで、市長選と同日の市議補選(多摩区)は実施されない。
市長選には福田氏のほか、共産党などでつくる「川崎民主市政をつくる会」も近く候補を発表する。