スケートボード、自転車BMXフラットランド、ブレークダンスの三つの競技が一堂に会した世界大会「アークリーグ」が4月下旬、寒川町で開催された。
3日間で延べ2万5千人を動員。一部競技が東京五輪で採用され、パリ五輪でも実施される見通しになっている「都市型スポーツ」の注目度の高さをあらためて見せつけた。
「選手が最高のパフォーマンスを発揮できるかどうかが決め手だった」。2017年に出身地の神戸で同大会を旗揚げし、今大会ではフラットランドを制した内野洋平さんは、開催地の選定理由をこう語る。
東京五輪を見据え、今年は関東での開催を模索していたというが、内野さんの念頭に当初あったのは、神戸と類似する横浜。ただ会場確保のハードルが高く、神奈川県を介してストリートスポーツの関連施設を持つ寒川町を紹介された。
同町での開催を後押ししたのは、施設はもとよりその支援体制だったという。認知度向上に向け、プロモーション活動の強化に着手していた町側と内野さんの思いが一致。「SAMUKAWA」の名は、全国放送や、写真共有アプリ「インスタグラム」など会員制交流サイト(SNS)を通じて国内のみならず世界に発信された。
土地利用の制限
一方、町内の古くからの名所で年間約200万人が参拝に訪れる寒川神社。さがみ縦貫道路の寒川北、南インターチェンジの開設により集客増を見込み、同町商工会が「寒川神社東参道まちづくり構想」を町に提案したのは10年前だ。
眼目は、農地となっている表参道東側エリアに土産店や飲食店を集め、参詣後の町内回遊につなげること。しかし、土地利用の制限もあり、具体化には依然至っていない。
アークリーグに象徴される新たな試みと、寒川神社を核とした伝統を生かす取り組み-。観光客の誘致は町の将来的な発展の要となる。同町商工会の内野晴雄会長は「首都圏、湘南地域へのアクセスの良さなど寒川は立地的に恵まれ、ポテンシャルが非常に高い」と指摘。その上で「寒川神社やアークリーグといった新旧の観光資源、産業集積、特色のある近郊農業といった特性をうまく組み込むことが必要だ」との考えを示す。