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寒川町長選投開票まで1カ月 現職以外動きなく

選挙 | 神奈川新聞 | 2019年8月2日(金) 05:00

将来の人口減少や財政健全化などの課題が山積する寒川町=同町役場
将来の人口減少や財政健全化などの課題が山積する寒川町=同町役場

 寒川町長選(27日告示、9月1日投開票)まで1カ月。現段階で出馬を表明しているのは、現職の木村俊雄町長(69)=2期=のみで、他に立候補の動きは出ていない。町はファミリー層を中心に人口増が続く一方で、高齢化も加速。企業立地を背景に税収は堅調に推移してきたが、財政の硬直度を示す経常収支比率はじわりと上昇している。将来への投資と足元の課題への対応。転換期にさしかかる町政の課題を探った。

財政の硬直解消課題

 「便利な10キロ生活圏」。町が4月に発行したガイドブック「『高座』のこころ。」では、国勢調査などのデータに基づき、藤沢市や海老名市など周辺市に比べ平均地価は安く、持ち家戸建て世帯率が高いといった「暮らしの地」の側面をアピールしている。

 周辺にショッピングモールや総合公園が立地し、2カ所ある高速道路のインターチェンジ(IC)からは渋谷へ約50分、横浜へ約40分。寒川神社に象徴される歴史や伝統とともに、移住の促進に向け生活利便性に焦点を当てている点がガイドの特徴だ。

定住促進


木村俊雄氏
木村俊雄氏

 「これからはもっと寒川町の認知度を上げていかなくてはいけない」。6月に3選出馬を表明した木村町長は町政運営を振り返り、2期目後半に着手した町のプロモーション活動を通じて、「交流人口を定住人口につなげる」と展望した。背景にあるのは、町を取り巻く状況の変化だ。

 町の人口は当面、微増を維持する見通しだが、町は2016年の「まち・ひと・しごと創生総合戦略」策定を契機に、「人口減少社会の克服」と表裏一体にある「移住・定住の促進」を鮮明にした。

 経済成長期に注力した企業誘致も手伝って、1980年代以降、町の人口は増加傾向をたどっている。約4万8300人の人口は関東地方の町村で最も多い。

 しかし、日本全体が人口減少時代に入る中、町の独自推計によると、2060年には町の総人口は1万人減少。高齢化率は37%まで上昇する見込みだ。

目標人口

 「手をこまねいていれば経済規模、雇用、税収など町全体の魅力低下につながる」。町幹部は危機感を示す。そこで策定したのが町が確保すべき人口を算出した「目標人口」だ。60年に4万4656人の人口を確保するために、「教育も含め子育て環境の整備にソフト、ハードの両面で力を入れてきた」(木村町長)。

 加えて、経済規模の拡大、雇用の創出へ、さがみ縦貫道路寒川南ICを核にした工業、流通拠点の整備には6年間で約28億円の財源確保が必要となる。

 立地企業からの法人関連税は財政を潤し、町は1980年度以降、東日本大震災直後の2012、13年度の2カ年を除き地方交付税の不交付団体を貫いている。しかし、子育て関連施策の強化と高齢化に伴う支出で社会保障関連費は右肩上がりとなり、11年度以降、経常収支比率は常に90%を超え、財政が硬直化した状態が続いている。

先順位

 そして、倉見地区の新幹線新駅を核として約20年前に浮上したまちづくり「ツインシティ構想」。町は県や関係自治体と新駅設置をJR東海に要望し続けているが、巨額の投資が必要となるプロジェクトに対し「中長期の課題としては重要」との認識が役場内外の大勢になりつつある。

 町の活力を維持するため、将来を見据えた人口減対策と産業集積への投資、増え続ける社会保障関連費。次期町長には、町民ニーズを的確に捉えつつ、優先順位を一層明確にした町政運営が求められている。

 
 

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