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#若者と政治
遠くて近い(上)何となく感じる距離

選挙 | 神奈川新聞 | 2019年7月17日(水) 15:31

平日の夕方、横浜駅みなみ西口周辺に集まる若者たち。続く低投票率が懸念されている=横浜市西区
平日の夕方、横浜駅みなみ西口周辺に集まる若者たち。続く低投票率が懸念されている=横浜市西区

 若者の投票率が低迷している。「政治に無関心」と批判される当事者たちは、どう感じているのか。20代、30代の記者が同世代の若者に政治との距離、選挙への思いを聞いた。

 投票所となる小学校は、自宅の目と鼻の先にある。でも、一票を投じようと足を運んだことはない。「別世界に感じるんです」。運送業界で働く丹代晴大さん(20)=横浜市鶴見区=にとって政治は、手を伸ばせばすぐ届くほどに近く、しかし遠い存在だ。

 川崎市内の定時制高校に通った。在学中は三つのアルバイトを掛け持ちし、毎月15、16万円を稼ぎ、家計の足しにした。昨年の春に卒業し、正社員として勤める。大学進学は既に父親が退職していたこともあり、学費面などを考えて諦めたが、不満もなければ後悔もしていない。

 進学した同級生と話すと「若いな」と思う。「サークルでの飲み代を稼ぐためとか、なぜ働いているかが全然違う」とずれを感じる。

 将来は結婚したい。それもできるだけ早くに、と望む。「子どもができたら苦労をさせたくない。もちろん奥さんにも。自分がお金で苦労してきたから」。だからこそ貯金にいそしむ。目標額は200万円だ。

 そんな中、「老後2千万円不足」問題が浮上した。就職した同世代とも「2千万円、どうする?」と話題にするが「無理だろうな。そんなにためられない…」。消費増税も控えるが、自分の生活が政治につながっているとの感覚は薄い。

 「正直、政治は分からない」。連想するのは「権力や出世争い」、つまりは政局だ。「首相一人が代わってもだめ。だから誰でもいいんじゃないかな」。自分の1票では何も変わらないとどこか諦め、増税や年金問題も「いずれ解決されると信じよう」とやり過ごす。

 一方、就職し「社会のことをもっと知りたい」という意識も芽生えた。参院選も無関心ではない。「選挙に行けば違うのかな。候補者の訴えをちゃんと考えられると思う。自分の問題だと考えが変わるかも」

正しい投票先求め

 大手金属メーカーの工場に勤める男性(31)=寒川町=は「投票には行かないと思う」と話す。結婚2年目、妻と2人で社宅に暮らす。3、4回ほど投票に行ったが、「この人に入れて」と家族に頼まれたからだった。選挙が職場で話題に上った記憶はない。

 「いつか子どもがほしいね」と夫婦で会話する。「子どもの将来を考えれば選挙に行かなきゃいけない。でも、だからこそ『何となく』で投票していいもんじゃない」と、二の足を踏んでしまう。

 悩みの種は「どこに投票するのが『正しい』か分からない」ことだ。日勤と、深夜までの夜勤を繰り返すシフト勤務をこなす日々。疲労困憊(こんぱい)で帰宅後、政治家や政党の情報を集める気力は残っていない。「甘えかもしれないけど、調べていられないのが本音」と明かす。

 根っこにあるのは「政治家は別世界の人々」という思い、そして不信感だ。消費増税も2千万円問題も「政治家は安定した生活を送れる。どうせ平気なんでしょ、と思ってしまう」。

 テレビ報道とSNS(会員制交流サイト)は見るが、SNSの書き込みが正しいとは限らない。ニュースを眺めても政治家への不信感が募り、選挙への関心はますますうせる。「自分の1票で変わると実感できれば投票するけど…」と、政治との距離は縮まるどころか広がるばかりだ。

不安も危機感薄く

 投票所に足を運ぶ親を見て育った。「『自分も』という意識が自然と身に付いたのかも」。フランス系メーカーに勤める男性会社員(27)=横浜市西区=は国政選挙でも地方選でも投票を欠かさない。若者の投票率が低迷すれば「数の多い高齢者に都合のいい政策ばかりになってしまう」との危惧も背中を押す。

 職場は社員約40人のうち半分以上が外国人。フランス、インドネシア、ポーランド、タイなど出身国は多様だ。政治の話題がごく自然に交わされる。

 必ずしも当事者ではない外国人がこの国の政治に関心を持ち、一方で日本の若者が政治と距離を置く。深刻な少子高齢化が進み、先行きが不安視される現実を前に思う。「将来がどうなるか分からない。真剣に考えなきゃいけない時期に来ている。でも、その危機感が薄いんだよな」

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