「同じ会社にはベトナム人やインドネシア人の技能実習生がいる。自分と比べて給料が安い。かわいそうだ」

6月末、神奈川シティユニオン(川崎市川崎区)に相談に訪れた20代のコロンビア国籍の日系人男性は、身近な技能実習生の境遇を思いやる。
日系人の大半は企業から直接雇用されることはなく、派遣会社に登録しなければ働き口は見つからない。男性は「正社員はほぼおらず、ボーナスをもらっている人はとても少ない」と明かし、「(企業は)『もし何か起きれば面倒』と考え、誰かを通さなければ雇えないのだろう」と推測する。実際、男性も妻も派遣として働く。
それでも日系人は、技能実習生と異なり家族で生活でき、収入もまだいい方だ。同僚のベトナム国籍の実習生に給料を聞き、その差に驚いたという。
「派遣の時給が1400円ならば技能実習生は950円ほど。女性はもっとひどく、派遣が1100円とすれば800円ぐらい」。男性の働く工場では社員の2割ほどを技能実習生が占め、もはや欠かせない労働力となっている。
懸念ぬぐえず
帰国後により良い条件で働く日を夢見て張り切っている人もいれば、既に大学を卒業して医師を目指す人もいる。多様な技能実習生の同僚に接しながら、その境遇を知るにつれ、男性の胸には危機感がこみ上げてくる。