男性は仕事で後遺症に苦しむほどのけがを負ったが労働災害とは認めてもらえず、妊娠した妻は退職願へのサインを求められた。
「外国人の立場からすると正直、差別との思いもある」
6月末、神奈川シティユニオン(川崎市川崎区)の事務所。相談に訪れた、ともにコロンビア国籍の日系人で20代の夫婦は正直な思いを吐露する。
コロンビア生まれの男性は幼くして来日。小学校から高校までを日本で過ごしたため、日本語に不自由はない。県内の産廃業者に勤めていた2月、作業中に左手の人さし指を7針縫うけがを負った。えぐれたような傷口からは大量の血が流れた。
休業4日未満の労災は、労災保険ではなく使用者が休業補償を行うことになる。「労災になると面倒くさいから出勤して」。社長に頼まれ、痛みが残るまま出勤した。作業は「片手でいいから」と言われたが、つらくなり結局退職。現在は首都圏の工場に勤める。
ところが、1カ月ほど前から傷口がしびれ始め、夜中に目覚めるほどの痛みも出てきた。「普通ではないと、仕事を休んで相談に来た。前の会社は、大ごとにしたくないから労働基準監督署にも報告していないと思う」
退職求められ
妻も深刻な状況に身を置く。男性とは別の工場で働くが、プラスチックを細かく裁断する作業中、飛散した破片が目に入った。