参院選が公示される4日、全7党の公認候補らが4議席を巡って激突する神奈川選挙区には、各党が党首級の論客を相次いで投入する。760万超の有権者を抱える全国屈指の大票田は、党の知名度や陣営の勢いを上向かせる格好の舞台。それぞれが無党派層への浸透を狙った「空中戦」を展開する構えで、17日間の選挙戦は初日から熱を帯びる。
自民党は、神奈川選出で「ポスト安倍」候補に名前が挙がる人気弁士が連日地元入りする。初日は河野太郎外相(衆院15区)がマイクを握り、翌日以降も菅義偉官房長官(2区)、小泉進次郎氏(11区)と続く。前回に続きトップ当選を目指す島村大氏の陣営は「無党派層にアピールできるだけでなく、スタッフも活気づく」とし、安倍晋三首相の来県にも期待する。
公明党の第一声には、石田祝稔政調会長が駆け付ける。その後は推薦を受ける自民から河野氏も合流し、「与党で2議席」を呼び掛ける。再選を狙う佐々木さやか氏の陣営は、山口那津男代表の県内入りも調整中。「混戦が予想される神奈川は重点区」とし、支持拡大に全力を注ぐ。
立憲民主党は、枝野幸男代表が6カ月連続で神奈川入り。3期目に挑戦する牧山弘恵氏や比例候補の女性タレントらと政策を訴える。党幹部を都市部に投入する序盤戦略の一環で、会員制交流サイト(SNS)で全国に熱気を拡散させる狙いだ。党は神奈川を「必勝区」と位置付けており、県連幹部は「初日の代表来県で勢いを付けたい」と意気込む。
国民民主党も玉木雄一郎代表が、新人の乃木涼介氏のてこ入れを図る。野党の候補者調整で多くの1人区を他党と分け合った国民にとって、神奈川は「重要な選挙区の一つ」(党関係者)。公示日以降も党幹部の来県を調整しており、横浜、川崎などで票の掘り起こしを目指す。
共産党は小池晃書記局長が駅頭に立つ。週末には2週連続で志位和夫委員長が駆け付け、3年前の参院選の雪辱を期す浅賀由香氏を応援。陣営は「前回は当選まであと少しだった。神奈川は党の議席を増やす筆頭区」とし、比例候補の議席増も視野に無党派層への浸透を図る考えだ。
日本維新の会は、2期目を目指す松沢成文氏の応援に、盟友の上田清司埼玉県知事が入る。週末に松井一郎代表(大阪市長)、週明けには馬場伸幸幹事長らが来県する予定だが、陣営は「大物弁士に頼らず、候補者本人が政策を訴えることが第一」と強調する。
社民党は、地元の福島瑞穂副党首(参院比例)が街頭に飛び出し、新人の相原倫子氏とともに「護憲政党の老舗」を前面に出す。県連合幹部は「比例票を押し上げる意味でも重点区。党の顔をできるだけ投入していきたい」と話す。
〈4日の政党幹部らの主な演説〉
自民 河野太郎外相 午前11時(横浜・日本大通り)
公明 石田祝稔政調会長 午前11時(桜木町駅前)
立民 枝野幸男代表 午後3時(桜木町駅前)
国民 玉木雄一郎代表 午後1時(横浜駅西口)
共産 小池晃書記局長 午後3時半(横浜駅西口)
社民 福島瑞穂副党首 午後1時(藤沢駅南口)
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