定数増 2議席狙う自民
定数が2から3に増え、前回の無投票から一転、激戦の様相を呈すのが県議選の川崎市高津区選挙区だ。夫婦として、あるいは父子2世代で、長らく議席を守ってきた現職2陣営に対し、新人の3陣営が今年になって相次いで名乗りを上げた。現新2人で2議席獲得を狙う自民党の強気な姿勢にも注目が集まる。
「夫婦」対「父子」
「8年ぶりの選挙戦。初心に帰ったつもりで必ずトップ当選できるよう、皆で汗をかこう」。告示日、自民党現職・小川久仁子氏の出陣式で同党市連会長の山際大志郎衆院議員が気勢を上げた。
6期目を目指す小川氏は夫の栄一氏が県議だった頃からの厚い地盤を持つ。8年前は約3万票を獲得しトップ当選。「この8年間は土日もほとんど休んだことはない。選挙戦は皆さんの反応を確認する総仕上げ」と上位当選を狙う。
かつて旧みんな、維新に所属し、今回は立憲民主党公認で3期目を目指す斉藤尊巳氏は、地域連合の支持を得て選挙戦に臨む。
旧みんなで出馬した8年前は約2万3千票を集めた。「第三極の立場で、風もあった」と初陣を振り返る。維新公認で出た前回は無投票。実質的な選挙戦は今回で2度目だ。「定数増で選択肢が増えるのは有権者にとっていいこと。しっかりと戦い抜きたい」と表情を引き締めた。
小川氏の夫・栄一氏と斉藤氏の父・雄輝氏は、もともと保守系県議として同区でともに戦ってきた好敵手同士。小川氏は斉藤氏だけでなく雄輝氏とも戦いを演じ、両者で2議席を確保してきた経緯がある。
年明けから一気
2現職に続いて1月に出馬を表明したのは、希望の党の新人粕谷葉子氏。「県会を改革をするために手を挙げた」という。同区選出の元市議で途中で離団したが、かつては民主党に所属。前知事で同党代表の松沢成文参院議員の秘書を務めた経歴も持つ。
告示日には松沢代表が応援演説に駆けつけ「粕谷さんは県議定数を半分に減らそうとしている。他政党は既得権を離すのが嫌で勇気あることを言えない」と訴え、支援を呼び掛けた。
自民党推薦で無所属新人の佐野太悠氏は2月に出馬を表明。同党関係者によると、当初は「自公で2議席」との青写真を描いたが、公明党からの出馬はなかった。増えた議席の獲得をはなから諦める選択肢はあり得ないとして、佐野氏に白羽の矢が立った。
3月29日の出陣式で市連の山際会長は「知名度はゼロに等しい。死ぬ気で戦って初めて当選ラインに届くかどうか。厳しい戦いだと腹に据えてほしい」と激励。30歳の佐野氏は「働く世代が恩恵を受けられる社会を目指したい」と力を込めた。
同じく2月に入って出馬を表明したのは、共産党新人の石田和子氏。同区選出の現職市議で、今期で引退する予定だったが、県議への転身を決意した。
定数増を受け、同党は早々に候補者の擁立方針を掲げていたが、肝心の候補者選びが難航し未定のまま越年。引退を撤回する形となった石田氏は「現政権に批判的な票の受け皿は必ず必要。神奈川から政治を変えていきたい」と訴え、自身の後任として立つ新人市議候補とともに当選を目指す。
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