
4月7日に投開票される相模原市長選に立候補した4氏へのアンケート回答を紹介する最終回は、教育や子育て、市内の障害者施設で起きた殺傷事件の再発防止、ヘイトスピーチ対策をテーマに据えた。教育については各候補がさまざまな観点から施策を提示。事件の再発防止やヘイト対策に関しては、全ての人の尊厳を守ることや多様性の確保などで考えが一致した。
新人3氏は教育と子育て支援について、待機児童対策に重点を置く点で考えは共通。その上で独自の政策を示している。
本村賢太郎氏(48)は「基礎学力が定着するよう習熟度別授業の導入を検討し、併せて少人数学級を推進する」とし、宮崎雄一郎氏(52)は「幼保小中一貫教育の実現、教員数の増員、スクールバス導入、エアコン導入で環境改善を図る」と主張。八木大二郎氏(55)は「児童クラブの定員増と小学4年生まで入会学年を拡大。中学校給食はデリバリー給食から全員調理給食に」と提案する。
現職の加山俊夫氏(74)も、子育て・教育環境の充実を強調。貧困対策も含めて「全世代型福祉社会の実現」を掲げる。
また、2016年7月に県立障害者施設「津久井やまゆり園」(同市緑区)で入所者19人が殺害され26人が重軽傷を負った事件を繰り返さないために、何が必要かを聞いた。各候補は、障害の有無にかかわらず児童生徒が一緒に学ぶ「インクルーシブ教育」の充実や、理解を深める取り組みや雇用の推進などの案を提示した。
ヘイトスピーチについては、各候補はいずれも「許されない」と強調。本村氏と八木氏は差別的言動を繰り返している団体に対し、公共施設の利用制限を定めた条例の検討に前向きな姿勢も見せた。
◆教育と子育て支援は
本村賢太郎氏
子育てを包括的に支援する体制を整え、保育士の処遇改善を講じるほか、待機児童ゼロ、学童保育の拡充を目指す。基礎学力が定着するよう習熟度別授業の導入を検討し、併せて少人数学級を推進する。
宮崎雄一郎氏
駐車場付き駅前保育園・認定こども園、0~1歳児の受け入れ拡大と病児保育の充実。中学校までおいしい学校給食、幼保小中一貫教育の実現、教員数の増員、スクールバス導入、エアコン導入で環境改善を図る。
加山俊夫氏
子どもたちが生まれた環境に左右されることなく生き生きと成長し、夢や希望を持って活躍できるよう、子育て・教育環境の充実、貧困対策など「全世代型福祉社会」の実現に向けた施策を総合的に進める。
八木大二郎氏
保育園待機児童と保育士不足の解消を同時に推進。児童クラブは定員増と小学4年生まで入会学年を拡大する。中学校給食はデリバリー給食から全員調理給食に充実。給食費は無料化を推進する。
◆やまゆり園事件を繰り返さないために
本村賢太郎氏
多様性を肌で感じてもらえるインクルーシブ教育を充実させることが重要。市が先頭に立って障害者雇用日本一を目指し、日常から接する環境をつくる。併せて必要な法整備を国に働き掛ける。
宮崎雄一郎氏
全ての人に平等に人権があり、それを尊重しなければならないということ。思いやりの心、利他の心、正義感は子どもへの教育だけではなく、大人になっても磨き続ける必要がある。
加山俊夫氏
障害の有無にかかわらず、あらゆる人の尊厳が守られ、安全で安心して暮らすことができる共生社会の実現に向け、一人ひとりが互いを思い、支え合う中で、障害者への理解を促進する取り組みが必要。
八木大二郎氏
事件を風化させないため、「ともに生きる社会さがみはら宣言」を制定、障害者に対する差別意識を排除する。「障がい者雇用促進条例」を制定、雇用率向上を目指して企業を支援、ともに働く環境を醸成。
◆ヘイトスピーチ対策は
本村賢太郎氏
人権侵害はいかなる理由においても許されてはならない。市内には多様な人が暮らしており、そのこと自体が財産でもある。多様な人たちが、ありのままで暮らせる市を目指し、条例制定も視野に対策を講じる。
宮崎雄一郎氏
人権侵害の行動は明らかに許されない。具体的な対策は簡単ではないが、よく市民の皆さまや議会で議論を進めながら前向きに対策を検討する。
加山俊夫氏
ヘイトスピーチは許されるものでなく、外国人などに対する不当な差別的言動の解消に向けた意識啓発などの取り組みを進めていきたい。
八木大二郎氏
いかなる民族に対しても差別的言動や人権侵害は許されない。そうした団体の公共施設の利用については条例制定による制限を含めて検討。「ともに生きる社会さがみはら宣言」を制定し、差別根絶を宣言する。