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三浦市長選(下)農漁業・観光 回遊性向上で活性化

選挙 | 神奈川新聞 | 2017年6月17日(土) 13:19

回遊性向上を目指し、三浦市などが4月から事業を本格スタートさせたレンタサイクル=三浦市三崎
回遊性向上を目指し、三浦市などが4月から事業を本格スタートさせたレンタサイクル=三浦市三崎

 「あと20年もしたら、漁師はさらに少なくなるのでは」。市内で漁業に従事する40代の男性は不安を募らせる。

 漁は天候に左右される。収入は多いときと少ないときで倍近く差が開くこともあり、生活は安定しない。起床するのは夜中で、過酷な肉体労働。中学生や小学生の子どもはいるが、「今後が見えず、稼ぐには、相当のやる気がないとできない仕事。継いでほしいとは、自分からは決して言えない」。

 漁業者の高齢化、就業者不足は全国的な課題だが、漁業を基幹産業とする三浦市にも暗い影を落とす。市水産課によると、1988年には市内に1687人いた漁業就業者数が、2013年には709人に減少。65歳以上が占める割合は1988年の8・2%に対し、2013年は41・2%に急増。全国平均の35・2%(13年)と比べても高い比率で、高齢化が進む。

 市内の漁業協同組合の正組合員数も、みうら漁業協同組合が発足した1994年には1229人だったが、2015年は543人と5割以上の減。経営基盤の整備を図るため、今年4月にはみうら漁協が市内の諸磯漁業協同組合を吸収合併した。

 もう一つの基幹産業である農業。農林業センサス(15年)によると、市内の農業就業人口の平均年齢は56・6歳。県平均は64・4歳で、県内の市町村単位では最も若い。それでも将来を見据えて、若手農家らでつくる市農業後継者対策実行委員会は10年から農家を対象にした婚活イベントを開催。これまでに10組の男女が結び付いたという。

 観光業も主要産業だ。市営業開発課によると、市内の観光客数は東日本大震災の影響で10年の約560万人から11年に約490万人に落ち込んだものの、15年は約590万人まで回復し、16年は25年ぶりに600万人に到達する見込みだ。城ケ島がガイドブック「ミシュラン・グリーンガイド・ジャポン」(13年)での二つ星獲得や、往復乗車券や食事券などがセットになった「みさきまぐろきっぷ」の売り上げの好調ぶりなどが要因とみられる。

 延べ宿泊客数も、11年の約69・8万人から15年は約74・9万人に増加。ただ、市内で民宿を営む40代の男性は「宿泊客は年々減っており、観光客が増えているという実感はない」。別の民宿経営の50代の男性は「観光客が来ているのは三崎など一部の地域だけ」と訴える。

 滞在時間の増加が重要なテーマとなっており、今年4月には市や民間業者などが連携し、レンタサイクル事業を本格始動。回遊性向上への取り組みは、観光消費額を上げるうえでも欠かせない。地域活性化へ待ったなしの取り組みが続く。

2候補者の分野別政策

▼地域活性化
飯田俊行氏
・海のない都道府県との農業や観光、教育部門での交流
・海洋都市(館山など)との提携や観光推進
・大学や学術機関との提携や支援(海洋学、水産、気象、IT通信など)
・海外との提携(まずは東南アジア地域)

 吉田英男氏
・三浦市に新しい人の流れをつくる。ライフステージ、ライフスタイルに応じた多様な居住の促進、提供
・若い世代の結婚や出産、子育ての希望をかなえる取り組み
・三浦市における安定した雇用の創出

▼観光・農漁業
 飯田俊行氏
・農業、漁業、歴史文化などを一体化した観光戦略・農業に従事したい若者が増えており学生も含めた就労体験政策
・マグロ一辺倒でなく、沿岸漁業の拡大・新たな観光資源として、ジオパークで町おこし

 吉田英男氏
・農業、漁業、観光業の連携による観光振興や雇用機会の創出
・市場の高度衛生管理化
・農とみどりの整備事業

 
 

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