任期満了に伴う山北町長選は7月5日告示、10日投開票される。県内ワーストの人口減少率9・0%で縮小していく町の今を追った。

箱根越えの急勾配の鉄路を蒸気機関車が走っていた明治~昭和の時代。東海道本線の山越えの拠点となった山北駅周辺は「鉄道の町」として栄え、最盛期には700人の国鉄職員が詰めていた。「夏祭りには歩けないくらい人があふれ、映画館が二つもあったらしい」と住民が振り返るその駅前商店街は今、ほとんどの店がシャッターで閉じられて静まりかえる。
1934(昭和9)年の丹那トンネル開通(静岡県)で本線が小田原方面に移り、人の流れも変わった。町の人口は55年の約1万6700人がピークで、今は1万人を割り込んだ。
町内4地区にあった商店街組織も2005年から次々と解散し、最後まであった山北駅前商店街の振興会も昨年6月でその役目を終えた。線路沿いの公園に保存されたD52型蒸気機関車だけが往年の「鉄道の町」のにぎわいを伝えている。
「良くなる要素が全くない」
山北町の今 かつて栄えた商店街「全滅」、鉄道の町岐路に
JR御殿場線沿いの公園で動態保存されているD52型蒸気機関車=山北町山北 [写真番号:1097762]
シャッター通りと化し、商店振興会も解散となったJR山北駅前商店街=山北町山北 [写真番号:1097763]
D52型蒸気機関車にあやかり「石炭糖」を販売する地元和菓子店=山北町山北 [写真番号:1097764]