
衆院が14日解散し、衆院選は19日公示、31日に投開票を迎える。コロナ禍で社会が大きく変わる中、使い慣れたSNS(会員制交流サイト)で拡散と共鳴を繰り返すデジタルネーティブの「Z世代」は政治に何を思うのか。衆院選を通じ、7人のZ世代を追う。
「キングオブコント」とか「M─1グランプリ」とか輝ける舞台に憧れている。でも芸人としての収入はゼロ。先行きが見えない。肉体労働で食べてはいけるけど、やっぱりお笑いで稼ぎたい。

神奈川県内の大学野球部で活躍し、リーグ本塁打王も獲得した。卒業後は外車ディーラーに就職したが8カ月で退社。中学の同級生からの熱烈な誘いで昨春、お笑い芸人になった。工事現場の搬入や荷揚げの仕事で生計を立て、夢を追いかける。
大学時代は政治に興味もありませんでした。初めての投票は社会人1年目の参院選。役所で候補者ポスターを見て、若そうな人にとりあえず投じました。適当でした。
政治を身近に感じるようになったのは荷揚げで一緒に働く人の考えに触れたから。「若いんだから投票ぐらいしておけよ」と言ってくれたり、母親の治療費を稼ぎながら家族を養っていたり。みんな真剣に生きているから政治に向き合える。不安定な境遇の人がいると知り、まじめに考えなければと思うようになった。
自民党総裁選を経て岸田文雄内閣が誕生した。たまに報道に触れていたが、当事者意識は持てなかった。