11日の昼下がり。外国人が多く暮らす県営いちょう団地(横浜市泉区、大和市)に元長野県知事・田中康夫氏(65)の姿があった。
「税金というお代を先にいただく行政は、サービス産業なんです」。マイクを握って話したのは、知事時代に取り組んだ福祉施策について。「福祉や医療、教育は人が人のお世話をして成り立つ領域。そこにこそ、限られた財源を投入しよう」。上瀬谷通信施設跡地での医療・救急拠点の整備、中学校の温かな完全給食実現など約30分間にわたって市政の転換を訴えた。
街頭で演説と同じくらい力を入れているのは、有権者との対話だ。いちょう団地でも、集まった市民の質問や要望に丁寧に耳を傾けた。支援者は「人の話をきちんと聴く姿勢がほかの候補者との違いだ」と話す。
活動を支えるのはボランティアが中心だが、「しがらみのなさ」としてアピールする。「大きな既存政党や労働組合、大きな利益団体は一つもついていない。皆さん一人一人が伝道師になってほしい」