11日、小さな店が軒を連ねる六角橋商店街(横浜市神奈川区)。新型コロナウイルスによる外出自粛や酷暑の影響か、日中にもかかわらず人通りはまばらだ。
「コロナ禍で商売は本当に厳しい」。元市議の太田正孝氏(75)はそう訴え、一気にまくしたてた。「私自身が店の主人になったつもりで一体となって市政を運営していきます」
市議として11回の当選を重ねてきたベテランも、市内全域が選挙区の市長選は「五里霧中」。それでも、戦い方は変わらない。
小回りの利く軽ワゴンで地域を隅々まで巡り、子連れ夫婦を見かければ政策の一つである完全給食の実施を呼び掛け、犬を散歩する人を見れば動物愛護を訴える。「私は無名。多くの人と会い、話をする。そうすれば親近感が湧いて投票してみようってなるでしょ」
つかの間の昼食。どんな思いで選挙に臨んでいるかと尋ねると、こう答えた。「政治が混沌(こんとん)としているからこそ、市民にとって泥の中でも美しく咲くハスの花のような存在になりたい」