横浜市長選が告示され、22日に投開票が行われる。人口370万人を超える日本最大の基礎自治体が抱える課題を探った。

夜の横浜港にきらめく巨大ビル、まるで海中にいるかのような水族館、大勢の人でにぎわう広場-。
7月下旬、横浜市役所2階に設けられた企画展示スペース。カジノを含む統合型リゾート施設(IR)をPRするイメージ写真が来庁者の視線を集めていた。
市の誘致事業に理解を深めてもらおうと、事業者公募に応募した2グループの具体案を基に模型やイメージ写真などを展示。ベビーカーを押した母親やスーツ姿の男性、高齢の女性らが次々と足を止め、きらびやかなパネルにスマートフォンのカメラを向けていた。
2019年8月に林文子市長がIR誘致を表明してから2年。市はIRを巡る汚職事件や新型コロナウイルス感染症の影響を受けながらも粛々と準備を進め、来年4月までに国への認定申請を目指すとしている。
「超高齢化社会が見込まれる中、子育てや福祉の予算を確保するのにIRが必要」「コロナ収束後は経済回復の起爆剤になる」。市幹部は市会で何度も誘致の必要性を説き、有識者やお笑いタレントを招いたオンラインシンポジウムを開催。
横浜駅構内にイメージポスターを掲示するなど広報活動にも力を入れてきた。
危険性「始めから」
横浜の課題(3)収益か依存症懸念か、街の在り方決めるIR
IR事業者から寄せれた具体案の模型やイメージ写真を眺める親子連れ=7月27日、横浜市役所 [写真番号:773608]