
川崎市は7日、2022年度当初予算案を発表した。一般会計は前年度比7・0%増の8785億円で、8年連続で過去最大を更新した。
引き続き新型コロナウイルス感染症対策に重点を置き、子育て対策や脱炭素化の推進にも注力する。市税収入が過去最大となったものの、新本庁舎整備など大型事業経費の増大や、教育、福祉など義務的経費の肥大化で当初予算ベースで13年連続で減債基金の取り崩しを余儀なくされ、収支均衡が課題となっている。
福田紀彦市長は会見で「誰一人取り残さず、今後も持続可能な都市であり続けるため、成長と成熟が調和する『最幸のまち』の実現を目指して取り組んでいく」と説明した。

一般会計の歳入は、市税収入が216億円増の3670億円(前年度比6・3%増)を見込む。人口増に加え、コロナ禍の経済活動再開による所得や企業収益の回復などで個人市民税を88億円増、法人市民税を43億円増とした。21年度は市税収入が落ち込み、6年ぶりに普通交付税の交付団体に転じたが、22年度は不交付となる見通しという。
また、財源不足を補うため、市債の償還財源として積み立ててきた減債基金から239億円(前年度比16・5%減)を取り崩す緊急的な措置が続く。市債は発行額が198億円増の931億円(前年度比27%増)と膨らんだ。

歳出は、待機児童対策の強化や障害福祉サービスの利用者増などで扶助費が89億円増の2267億円となり、義務的経費は4550億円(前年度比2・5%増)で全体の51・8%を占める。進行中の新本庁舎整備やごみ処理施設の橘処理センター整備費用が増大し、投資的経費は362億円増の1342億円となった。新型コロナウイルス感染症対策は、経済支援を含めて239億円を計上した。
主な事業は、公共施設での再生可能エネルギー導入拡大や、臨海部での水素エネルギーの利活用促進など脱炭素化の推進を加速化させるもの。平瀬川の多摩川合流部での堤防整備など減災対策を強化するほか、ダンスの世界大会誘致など若者文化の発信にも取り組む。(武藤 龍大)
【2022年度当初予算案】
一般会計 8785億円(7.0%増)
特別会計 4560億円(2.6%減)
企業会計 2144億円(0.4%減)
…………………………………………
総 額 1兆5490億円(3.0%増)
※1千万円単位切り捨てのため合算と合わない場合があります
【解説】将来負担増大、どう対応
川崎市予算案 8年連続で過去最大 コロナ対策に重点継続
2022年度当初予算案を説明する福田市長=7日午後、川崎市役所 [写真番号:994692]
市民1人当たりの予算の使いみち [写真番号:994693]
一般会計当初予算案 [写真番号:994695]
2022年度の主な事業 [写真番号:994697]