2021年が暮れようとしている。今年もニュースの真ん中には、いつも新型コロナウイルスがいた。対策の後手批判も響いて、神奈川選出の菅義偉首相はわずか1年で退陣に追い込まれた。コロナ禍と首相交代に象徴されるこの1年。社説は何を訴えてきたか。読み返しながら振り返る。
感染拡大に翻弄
菅義偉氏(衆院神奈川2区)が首相に就任したのは2020年9月。安倍長期政権からバトンを引き継ぎ、新型コロナウイルス対策に追われる中で年明けを迎えた。
新年の展望社説は≪問われる菅政権の実績≫(1月3日)の見出しで、秋に控える自民党総裁選と衆院議員の任期満了に言及しつつ、「実務型と評される首相がその手腕を発揮し、実績を示せるかがシビアに問われよう」「まずはコロナ対策で手腕を発揮し実績を示す必要がある」と求めた。
ところが感染拡大は止まらない。通常国会が召集された際は≪疫病収束へ議論尽くせ≫(1月18日)とトーンを強めた。就任して初の施政方針演説を受けた≪希望は信頼の上にこそ≫(1月19日)では、支持率が急落していることに触れながら「収束に向けて着実な成果を上げることで実行力を示すしかない。そのためにも、まずは政府に対する信頼を取り戻すことに全力を挙げなくてはなるまい」と促した。
菅内閣は携帯電話料金の引き下げや不妊治療の保険適用など実務的な政策のほか、将来を見据えた指針も示した。脱炭素社会への転換方針もその一つで、≪官民挙げて知恵絞れ≫(2月1日)では、首相が「50年までの温室効果ガス排出実質ゼロ」を宣言したことを評価しつつ「世界5位の二酸化炭素排出国である日本が、責任ある立場で計画をどう実行していくのか」と具体策を求めた。
相次いだ醜聞
社説で回顧2021【下】首相交代
自民党総裁選後の両院議員総会で岸田新総裁(右)と手を取り合う菅首相=9月29日、東京都内のホテル(共同) [写真番号:951192]