
相模原市は9日、2021年度当初予算案を発表した。一般会計は前年度比2・7%減の2989億円で6年ぶりに前年度を下回った。新型コロナウイルス感染症の影響で税収は政令市移行後、最大の落ち込み幅となる73億円の減収を見込む。財政調整基金の取り崩しや市債発行などで財源を捻出するとともに、新規事業を抑制。1月に案を公表した行財政構造改革プランに基づく取り組みを着実に進める方針だ。
進む財政硬直化
歳入は4割を占める市税収入が5・6%減の1224億円。新型コロナの影響による雇用や企業収益の悪化で、個人市民税が約46億円、法人市民税が約15億円の減収をそれぞれ見込む。
市債は15・6%増の332億円。21年度末の市債残高は2802億円で過去最大となる見込み。償還金全額が地方交付税措置の対象となる臨時財政対策債を除いた残額は1153億円となる。
歳出は右肩上がりで伸びている社会保障関係の扶助費が3・5%増の963億円に増加。人件費、公債費を合わせた義務的経費は1989億円に膨らみ、歳出全体の66・5%を占め、財政の硬直化が一層進んだ。
自治体の貯金に当たる財政調整基金は30億円を積み立てる一方、50億円を取り崩し、差し引きの残高はピーク時(13年度の133億円)の半分以下となる60億円に減少する見通しだ。
コロナ禍による応急的な支出に対応するため、予備費を前年度比で3億円多い計4億円に増額した。
厳しいやり繰りの中、22年4月に開設予定の市立中学校夜間学級(夜間中学)の準備費を新規に計上。リニア中央新幹線建設・駅設置促進事業や周辺のまちづくり関連事業などへの投資も重点的に行う。
本村賢太郎市長は同日の記者会見で「厳しい予算編成となったが、ここを乗り越えて未来の展望を開きたい」と述べた。予算案は15日開会の市議会3月定例会議に提案する。(松島 佳子)
【2021年度当初予算案】
一般会計 2989億円(2.7%減)
特別会計 1989億円(0.6%減)
公営企業会計 321億円(0.3%増)
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総計 5299億円(1.7%減)
【解説】財政難で緊縮型 独自色に腐心
相模原市予算案、一般会計6年ぶり減 税収減で新規事業抑制
相模原市の2021年度当初予算案を発表した本村賢太郎市長=相模原市役所 [写真番号:506481]
市民1人当たりの予算の使いみち [写真番号:506482]
一般会計当初予算案 [写真番号:506483]
21年度の主な事業 [写真番号:506484]