地域に残る貴重な文化財を保存・活用する拠点になる郷土資料館。大半の市が保有する施設だが、県央地区の市では座間と綾瀬、伊勢原の3市が未設置だ。
総合計画に整備を明記しながら「ハコモノ行政」への是非や財政・人材難を背景に進捗(しんちょく)していない。
一方で収蔵品の劣化や散逸が危惧され、設置に向けた模索が続いている。
提言たなざらし
座間市にはかつて歴史民俗資料館があったが、老朽化で1996年に解体。再整備を目指して99年に設置した検討会議が2005年に提言をまとめた経緯がある。
しかし、理由は定かではないが、提言はたなざらし状態が続いた。13年に再度設置された検討委員会は21年3月の提言に向け、作業の最終段階に入っている。
「収蔵庫に収めたままでは、市民が研究したり学んだりできない」「保管場所の環境は劣悪で、市民の宝である文化財が危機的状況にある」
学識経験者ら委員5人の議論からは、保存状態の悪化など文化財保護行政が停滞する現状へのいらだちも垣間見える。
積み上がる民具
“郷土の宝”劣化危機 資料館ない自治体、なぜ検討長期化
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民具など収蔵品であふれている保管場所=座間市役所分庁舎 [写真番号:465814]
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収蔵庫として活用されている座間市役所分庁舎=座間市入谷西2丁目 [写真番号:465817]
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綾瀬市役所の3階通路に展示されている市指定文化財の一部 [写真番号:465819]