
女性を取り巻く経済環境はいまも厳しい。2019年の賃金構造基本統計調査で、男性を100とした場合の女性の賃金は74・3にとどまり、男女間の賃金格差は先進国で最低レベルだ。ジャーナリストで和光大学名誉教授の竹信三恵子さんは「『夫が稼ぎ、妻は家事を担いながら家計を補う』といった考えを前提にした制度や労働構造が維持されている」と指摘する。
─新型コロナウイルスの感染拡大で女性の就業環境が急激に悪化しています。
「これまで、働く女性の半分以上がパートやアルバイトなど雇用が不安定な非正規労働者という状態が続いてきました。非正規労働者は景気が悪くなれば解雇されるなど雇用の調整弁のように使われてきましたが、コロナ禍では狙い撃ちされたかのように、女性の非正規の雇用機会が激減しています」
─総務省の労働力調査によると、女性の非正規は8月に1405万人となり、昨年12月に比べると5・9%(88万人)も減った。男性の非正規も3・1%(21万人)減っているが、より深刻です。