入所者ら45人が殺傷された神奈川県立知的障害者施設「津久井やまゆり園」(相模原市緑区)の再建を巡り、県は29日、犠牲者19人を悼む鎮魂モニュメントの設計業者とデザイン案を発表した。
県障害サービス課によると、設計業者をプロポーザル方式で募集したところ、4業者が参加。18日に遺族や地域住民らによる審査会で、横浜市中区のデザイン会社「スタジオ・ゲンクマガイ」が選ばれた。
提案されたのは「空とつながる水鏡」と題した黒御影石のモニュメント。皿形で月命日には水が張られ、「大きな水鏡として空を鮮明に映し、器から水が流れると水音となって訪れる人の心に響く」としている。
園のエントランス近くに配置され、中心部分は直径約2メートル、高さ約55センチ。周囲は芝生で円状に囲む。モニュメントの上面には「ともに生きる社会かながわ憲章」をつづるが、犠牲者の氏名を入れるかどうかは遺族らと協議して決めるという。
同課は「後世へのメッセージを伝える工夫のほか、献花スペースが確保され、地域住民との交流の場としても活用できるよう配慮されている」と説明する。
来年1月に設計業務を完了後、制作業者の入札を実施。2月から制作に着手し、夏頃の完成を予定している。総事業費は約1千万円。