「ハマのアメ横」と呼ばれる洪福寺松原商店街。十字路に面した生花店前に、警護官(SP)に囲まれてマイクを握る官房長官(当時)菅義偉の姿があった。
昨年3月末、市議選に出馬した新人の応援演説。新元号発表の2日前にもかかわらず、約3年ぶりの街頭演説に地元は沸き返った。
ただ、菅が演説場所に指定したのは、決して人通りが多くない一角。この地には特別な思いがあった。
「たくさんの選挙を経験したが、全ての記憶が残っているのは初めて横浜市議に挑戦した選挙だけだ」
この場所を「原点」と明かした菅は、知名度ゼロの自分のために聴衆を集めてくれた亡き支援者の恩義を思い出し、時折、声を詰まらせた。その息子で、市議選に初挑戦していた青木亮祐も「応援で引き締まった」と目を潤ませた。
「君の出る幕はない」
33年前。衆院議員・小此木彦三郎の下で11年にわたる秘書生活に終止符を打って挑んだ市議選。そこで菅が目にしたのは、自民党のしがらみなど「悪い面すべて」だった。