
JVCケンウッド(横浜市神奈川区)の辻孝夫社長は14日、本社で会見し、2012年から製品発売を凍結していた「Victor(ビクター)」ブランドを復活させると発表した。08年の米リーマン・ショック後の危機から再建が進み、成長の旗印として再起動を決めた。同日の会見では、その第1弾となる新たな音響技術「エクソフィールド」も公表した。
ビクターの名は米国企業発祥で、国内は1927年設立の日本ビクター蓄音器にさかのぼる。戦後は日本ビクターを名乗り、70年代後半に開発したVHSビデオは世界を席巻した。しかし、2011年に現在のJVCケンウッドに吸収合併され、企業名としては消失。経営再建を進める過程での研究開発の抑制を背景に、12年6月を最後にその名を冠した製品の発表は途絶えた。
一方、再建や企業統合の作業が一巡し、昨年6月に新経営体制が発足。同時にイノベーション(技術革新)の創出などに軸足を置く「JK3・0」と題した成長戦略に移行した。約5年ぶりとなる今回の復活は、同社の次なる発展の旗印とすることに加え、今年が日本ビクター蓄音器の創業90周年に当たるなどの理由で決定したという。
辻社長は会見で