野田佳彦財務相が29日、民主党代表選で新代表に選ばれた。復興財源の在り方や、原発依存のエネルギー政策からの転換、環太平洋連携協定(TPP)交渉参加の是非などの喫緊の課題が山積している。菅直人首相の後継としてかじ取りを担う野田氏への期待と注文を県内の経済関係者から聞いた。
■復興財源なら…
東日本大震災からの復興には財源の確保が不可欠。菅政権が決めた復興の基本方針では、次世代に負担を先送りせず、歳出削減を進めながら増税で賄うこととしている。財務相の野田氏は増税に前向きとされる。
板金業者・大丸製作所(相模原市中央区)の杉田豊範社長は「復興財源としての増税は仕方ない」とみる。「消費税率の引き上げは駆け込み需要が期待できる。ただ、法人税を増やせば産業の空洞化を招く」と話し、法人税の増税を警戒する。
一方、馬車道商店街協同組合の六川勝仁理事長は「小売業界としては消費税は上げないでほしいが、増税は仕方ない」との立場だ。しかし、消費税は全国で滞納額が膨大に及んでいると指摘。「税の公平性の観点から税金滞納を改善することが最優先」と注文を付ける。
■再生エネに期待
菅政権は再生エネルギー特別措置法を成立させており、野田氏も再生可能エネルギーを積極的に活用していくとの姿勢だ。
川崎市内で大型リチウムイオン電池を製造するエリーパワーの吉田博一社長は「震災後、原子力から離れていく上で新たな発電インフラの整備を進めていかなければならない」として、再生可能エネルギーを推し進める動きを評価する。
中小製造業からは「地熱や太陽光などにシフトしていけば、関連部品の製作などの新たな需要が出てくる」「自由化して民間参入を促すべき」との声も上がる。
■TPPに「反対」
焦点となっているTPPへの交渉参加について野田氏は、早期に結論を出す考えを表明している。
相模原市緑区の酪農家楢島真さんは「震災の前後で状況が違う」と指摘。海外では東電第1原発事故で日本商品に対する風評被害が収まっていない。楢島さんは「日本の農産物は海外市場に参入できる状態でない」と交渉参加に反対している。
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□横商会頭「実効のある政権運営を」
横浜商工会議所の佐々木謙二会頭(ニッパツ会長)は29日、民主党代表選で野田佳彦財務相が新代表に選出されたことを受けて談話を発表した。
「万難を排し、より実効ある政権運営に手腕を振るっていただくことを強く望みたい」と要望。併せて「今、国民は政治に責任と覚悟を問うていると感じる。国民の信頼を失うことのないよう、揺るぎない力強いかじ取りに全力を傾注されたい」と注文した。
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