健康や美容関連の技術開発を手掛けるリキッド・デザイン・システムズ(LDS、横浜市港北区)は今月、睡眠中の呼吸数をiPhone(アイフォーン)搭載のヘルスケアアプリに記録できる簡易キットの販売を始めた。介護施設や保育所で、高齢者や乳幼児に無呼吸などの異常が生じた場合に警報で通知することも可能。疾患の早期発見に寄与する製品として売り出している。
人体と非接触の呼吸センサーを活用。布団や枕の下に薄型のエアーパッドを設置すると、1分間の平均呼吸回数など睡眠中の呼吸情報を測定し、iPhoneのヘルスケアアプリに自動的に記録される仕組みだ。
呼吸数に加え、離床や体動といった睡眠状態もクラウドに記録が可能。iPad(アイパッド)専用アプリを利用すれば、同時に4人までの睡眠状態を1台の端末上で表示できるため、病院の相部屋でも使いやすいシステムとなっている。
主なターゲットは介護施設や病院のほか、保育所などを想定する。日常の睡眠状態を把握し、データとして残すことで、急な不調で入院した場合などでも正確な診断に役立てられるほか、睡眠時無呼吸症候群(SAS)や幼児のうつぶせ寝などの早期発見にもつなげられるという。
簡易性を追求したキットは、数百万円以上と高額なIoT(モノのインターネット)による見守りシステムの本格導入前に有効性を検証する役割を持つ。各施設で、設置場所や警報の出し方、利用する端末などを試験できる。呼吸センサー本体や専用アプリ、1カ月間の技術サポートなどからなり、受注生産となる一式の価格は48万円(導入サービス込み)。
三昌商事(大阪市)が商用運用する見守りクラウド「Care Bird」と呼ばれるシステムを使うと、遠隔でのスマートフォンやパソコン端末上での見守りも可能だ。LDSの遠山直也社長は「緊急を要する患者や幼児を救う一助となり、介護や保育士の見守りの負担減にもつなげられれば」と話す。
同社とともに製品化に取り組んだシステム開発などを手掛けるスタビリティ(横浜市西区)が、割安価格の量産品を年内に発売予定。一般家庭などへの普及も目指す。