3月卒業の高校生の就職内定率が低迷したまま年度末を迎えた。神奈川労働局のまとめでは、2月時点の内定率は83・3%。前年同月比で0・4ポイント低下した。東日本大震災の影響で企業の採用意欲は今後減退に向かうのは避けられず、卒業後も就職支援を提供し続ける態勢づくりが急務となりそうだ。
県内企業からの高卒求人数は2月時点で6403人(前年同月比10・8%減)。職種別では事務職、業種別ではサービス業の採用が鈍い。こうした実情を反映して、男子の内定率85・6%に比べ女子は79・9%と厳しい状況になっている。
茅ケ崎市内の金属加工会社の社長は、これまで続けてきた高卒の定期採用を見送っている。「大手のような教育システムもないし、時間もかけられない」
一方、高校生の就職希望者数は4441人で、1・6%減った。厳しい就職事情を反映して進路を進学に変更する生徒が出ているためだ。それでも労働市場を大きく改善させる力はない。
高校生の就職活動は職業安定法に基づき、新卒求人がハローワークを通じて学校に示され、生徒も学校を通じて企業と接触する仕組み。進路が決まらずに卒業した生徒は6月までは「新卒」と見なされるものの、学校から離れれば就職活動で受けられる支援は少なくなりがちだ。
県内のハローワークは、学生や生徒の就職相談に対応する「ジョブサポーター」を増員し、卒業後も電話連絡や求人情報提供などの個別支援を続ける方針。ただ「計画停電で電車が動かなくなったことをきっかけに就活をやめた例が出ている」(横浜市内のハローワーク)など、大震災が就労意欲に水を差す影響を懸念する声も出始めている。
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