東日本大震災で被災した生産拠点などを持つ企業は12日朝から、被害状況の把握や従業員の安全確認に向け情報収集や復旧への対応を急いだ。キリンビールの仙台工場(仙台市)のビール貯蔵設備4基が倒壊したことが判明するなど被害が拡大した。
日産自動車は、志賀俊之最高執行責任者(COO)をトップとする「全社災害対策本部」の会議を横浜市の本社で開催。週明けの14日に主力の追浜工場(横須賀市)や横浜工場(横浜市神奈川区)、座間事業所(座間市)、栃木工場(栃木県)などすべての生産拠点の稼働を止めることを決めた。生産復旧の見通しは立っていない。日産車体(平塚市)や日産工機(寒川町)でも建物や設備の一部が損壊。日立港で米国向け出荷を予定していた自動車1300台も津波で被害を受けた。
キリンビールによると、設備が倒壊した仙台工場では津波で製品も流されたが、従業員は屋上に避難して無事だった。取手工場(茨城県取手市)でも設備の一部が損壊し、操業を停止した。三菱電機は壁にひびが入るなど一部損壊した郡山工場を、12日朝から立ち入り禁止にした。
プリント基板大手のメイコー(綾瀬市)は福島の工場で停電。福島第2原発から10キロ以内の範囲にあり、操業再開のめどが立たない状況だという。宮城の工場は津波で2階まで浸水した。介護サービスのツクイ(横浜市港南区)では仙台市や郡山市、都内などのデイセンターが損壊した。
連絡が取りにくく、11日中に実情を十分に確認できていない企業も多い。各社とも厳しい情勢の中、操業など事業再開や従業員の安全確保に全力を挙げる。NECは電話がつながりにくい関連拠点とはメールでやりとりしながら状況把握に努めているという。
大震災で被害や操業への影響を受けた工場や事業所は主要自動車メーカーだけで20カ所を超え、火災が発生したり、けが人が出た工場もある。
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