
就職活動の長期化でリクルートスーツの販売が伸びている。紳士服専門店は需要を取り込もうと、低価格から高級品まで品ぞろえを充実。百貨店は女性向けに着回しの利く商品をアピールする。本来なら3月は新社会人向けスーツがピークを迎える時期だが、リクルートスーツもまだ売れ筋という。
紳士服のコナカ(横浜市戸塚区)は主力商品「シャワークリーンスーツ」に新商品を加えた。1万円台後半の値付けは従来の約半分の価格設定だ。流水で手軽に洗えるため、クリーニング費用を節約できる点もアピール。出費を抑えたいという就活生の要望に応えることで、シリーズとしては過去最多の年間20万着の販売を目指す。
今春卒業予定の大学生の就職内定率(昨年12月時点)は過去最低の68・8%。総務省によると、紳士服の家計消費は昨年8月、2年2カ月ぶりに前年比プラスとなり、その後も回復基調にある。「牽引(けんいん)役は学生。就活期間が延びているので、スーツを買い足しにくる学生が目立っている」(コナカ)。
AOKI(同市都筑区)は2月末、低価格商品のほかに立体縫製スーツ「3Dスリム」の新商品を投入した。価格は5万円前後とやや高め。動きやすさと着心地のよさを重視し、デザインも高級感のある仕立てにした。「ここぞという場面で使える“勝負服”として売り込みたい」という。
百貨店も力を注ぐ。女性用リクルートスーツは秋にピークを迎えていたが、「近年は分散傾向にある」と、そごう横浜店3階「ニューヨーカー」の担当者。
売り場では就活の長期化を見越してか、上着、スカート、パンツの3点セットで購入する女性が目立つという。「ボトムスは傷みやすいので採用説明会はパンツ、面接はスカートと使い分けているようだ」。色は、無難とされ入社式や葬式などにも着られる黒が1番人気という。
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