年配者を活用しコスト削減でデフレに挑む、国産ソファメーカー「セルタン」/厚木
経済 | 神奈川新聞 | 2011年2月28日(月) 10:02

価格競争の激しい家具業界。国産ソファメーカー、セルタン(厚木市)は、製造業の現場で生じる発泡ウレタンフォームのくずを引き取り、クッション素材にリサイクルしている。生産現場には年配者のアルバイトを活用。材料や労務のコストを抑えながら販路を広げ、安価な海外品に対抗している。
新品のウレタンフォームの多くは自動車産業の製造現場で使われている。シートなどの形に切った後、残った素材をセルタンが引き取り、加工している。
細かく砕いたくずを接着剤と混ぜて型に敷き詰め、熱を加えて圧縮し、家具の種類に合わせたクッションに成形。部品を組み合わせて仕上げ、ニトリをはじめとする大手量販店やネット販売で供給している。
製品は20種類ほど。「1週間に一つの新製品を考案する」のが、八木美樹男社長の目標だ。年商も伸び、昨年は12億円に達した。ただ市場では、売れ筋商品にデフレ傾向が強い。3年前に進出したネット市場でも、ソファの最多価格帯は1万円台に下がった。「リサイクル素材でないものは高くて、ネットには出せない」という。
こうした状況に負けないコスト削減策の一つが、年配者の活用だ。
社員120人のうち90人がアルバイト従業員で、ほとんどが定年退職した60~70歳代。募集のたび、定員を上回る応募が寄せられる。近隣の工場で品質管理に携わった人もいる。勤務期間は平均で5年程度と長い。
年配層の雇用には配慮や安全管理が必要となる。稼働は1日6時間と短めに設定。現役世代の正社員でつくる安全委員会が工場内の整頓や見回りを続ける。つまずいたり、けがをしたりしないようにするためだ。
「現場でコミュニケーションを図れるスペースがあれば」との提案を受け、工場の隅に休憩スペースをつくることも検討した。
それでも、八木社長は「年配者は仕事をすることに慣れており、新入社員のように最初から心構えを教育しなくてもよい」と安定感を頼りにしている。給与水準も高くはないが、従業員には「こちらの都合で解雇はせず、自分のペースで働ける場は保証する」と約束してあるという。
◆セルタン ウレタンフォームリサイクルのフロアチェア、ソファの生産。1967年設立。資本金9450万円。厚木市金田1655。電話046(222)2611。
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