日産自動車(横浜市西区)が9日発表した2016年4~12月連結決算は、減収減益だった。営業利益は前年同期比14・3%減の5032億円。販売台数が約399万台と同期ベースで過去最高を更新したが、円高による海外収益の目減りを補えなかった。同日に本社で会見した田川丈二常務執行役員は「為替変動の逆風下にあるが、コストダウンや台数増で相殺していきたい」と説明。通期の業績見通しは据え置いた。
売上高は7・6%減の8兆2647億円。利益面は、営業利益が為替影響で2614億円、マーケティング・販売費用の増加で1638億円がそれぞれ下押しされ、経常利益は6・5%減の5901億円、純利益が8・5%減の4141億円だった。
仮に前年同様の為替レートで算出した場合は、売上高が5・4%増の9兆4261億円、営業利益が30・1%増の7646億円だったという。田川常務執行役員は「米ドルのインパクトが大きいが、メキシコやカナダ、ロシアなど資源国通貨のマイナス影響も大きかった」などと振り返った。
16年4~12月のグローバル販売台数は、前年同期比2・6%増の399万3千台だった。ただし、全体需要も伸長したため、世界での市場占有率は5・9%と0・2ポイント下落した。
地域別では、国内が三菱自動車による燃費不正問題の影響で上期の軽自動車販売が停止したことが尾を引き、販売実績が10・0%減の34万4千台、シェアが1・2ポイント減の9・8%。
主力の北米地域は、「ローグ」や「アルティマ」などが引き続き好調だった米国市場が4・2%増の116万4千台、シェアがほぼ横ばいの8・7%。メキシコは17・0%増の31万3千台。市場占有率を0・7ポイント落としたが、24・9%と依然高水準で同国でのトップシェアの座を維持した。
ルーブル安や景気減速に直面しているロシア市場は25・0%減の6万8千台と苦戦を強いられたが、ロシアを除く欧州は5・5%増の47万4千台だった。
アジアで重要マーケットと位置付ける中国は、1~9月販売実績で8・2%増の92万9千台だった。
会見では、ドナルド・トランプ米大統領の方針に関する質問が相次いたが、田川常務執行役員は「これまでの計画に変更はなく、追加して述べることはない」と強調。資本業務提携が実現した三菱自動車との相乗効果について「購買環境の好転など来年度から本格的に見込める」と話した。
通期の連結業績予想は「当初の想定為替レートからの差異が小幅にとどまる」ため売上高を3・2%減の11兆8千億円、営業利益を10・5%減の7100億円とした前回予想から据え置いた。