三浦大根を原料にした「だいこん焼酎三浦」の今冬の生産に向けて、関係者が苦慮している。醸造元の「目野酒造」(福岡県柳川市)が22日、事業を停止し破産の準備に入ったためだ。冬の収穫に向けた大根の種まきを間近に控えていることもあり、生産に携わってきた三浦市内の関係者らは情報収集など対応に追われている。
焼酎は地元の飲食店主らでつくるグループ「みうら江戸前倶楽部」がまちおこしの一環で、2005年に目野酒造などと共同で生産を始めた。原料の三浦大根は希少種で、焼酎の生産は年間約3~4千本と少ないことから“幻の逸品”とも言われている。
現在は大根の種まきから収穫までを倶楽部が担っている。年末に400~500本(約1トン)の大根が目野酒造に送られ、翌年2月ごろに新酒となる。
東京商工リサーチによると、目野酒造の負債総額は約2億円。今年6月に倶楽部が目野酒造を訪れた際は、経営悪化に関する話は出なかったという。
毎年9月上旬には種まきを行う。倶楽部代表の長島満雄さん(82)は「今年も種は予定通りまくので、収穫のころまでに醸造してくれるところを何とか見つけたい」。
毎年2千本以上を取り扱う「西崎商店」(同市南下浦町上宮田)の西崎則雄さん(72)も「土産としてもよく売れる。主力商品なので生産を続けてほしい」と願う。
目野酒造は座間の特産品「ひまわり焼酎」も製造していたため、倶楽部は今後、県央小売酒販組合座間支部とも連携して醸造元の確保を急ぐ。長島さんは「特産品として定着してきている。幻にならないよう、この冬も生産したい」と話している。