
富士通ゼネラル(川崎市高津区)は今年から、北海道や東北など国内の寒冷地向けエアコン市場に本格参入する。人口減少など社会情勢が変化する中、専用設計モデルを用意し、国内市場の深掘りを進める。第1弾として、外気温マイナス25度でも暖房運転できる「ノクリア」GNシリーズを30日から発売する。
同社の空調機部門の2015年度売上高は前年度比6%増の2331億円。海外売り上げ実績(1802億円)が全体の8割に迫る現状があるが、地域別でみると、国内市場が529億円と筆頭。従来も寒冷地の一部で通常のエアコンを販売してきたが、「国内市場の縮小を見据え、新たな顧客開拓が必要」と今回の本格参入を判断した。
寒冷地の暖房事情の変化も後押ししたといい、「これまで灯油の暖房が主流だったが、住宅の高気密化やオール電化の普及で寒冷地でもエアコンの利用が広がりをみせていることも商機があるとみた」と同社。
寒冷地向けエアコンの開発自体はこれまで欧米市場向けで取り組んできた経緯があり、参入にあたって海外で培ったノウハウをGNシリーズの開発に活用したという。
寒冷地向け特有の機能として、外気温マイナス15度時に一定条件下で55度の高温風を吹き出し、足元を40度まで温める機能をはじめ、外出時も室温10度をキープする機能などを搭載。室外機も凍結防止ヒーターなどの専用設計を施した。6畳用から18畳用まで5機種。市場想定価格は14畳タイプで税別20万円前後。
同社は「北海道や東北6県での市場開拓を通じ、国内での競争力やブランド力をさらに高める契機にしたい」と説明した。