三菱重工業のエンジン、ターボチャージャー(過給器)の事業を承継した「三菱重工エンジン&ターボチャージャ」が今月から、相模原市中央区で営業開始した。電力自由化など、国内外で変化が大きい電力ビジネスの商機を狙い、発電用エンジンなどの事業拡大を急ぐ。4日には本社で事業説明会を開き、花沢芳之社長が「専業プロ(の組織)としてグローバルに展開していく」と力を込めた。
同社は3月に設立された三菱重工フォークリフト&エンジン・ターボホールディングス(川崎市幸区)傘下の事業会社。三菱重工の孫会社にあたり、産業機器など、中量産品事業の中核会社の位置づけだ。
説明会では、三菱重工の前執行役員としてエネルギー・環境分野に取り組んできた花沢社長が、国内外でニーズが高まっているという「分散型電源」に言及。消費地近くに小規模な発電装置を分散配置する電力供給形態のことで「製品単体販売から周辺機器や顧客ごとの提案などソリューションビジネスまで展開し、新領域を開拓していく」。
同社の二本柱は、エンジン・エナジー事業とターボ事業。それぞれの商機について、前者が「各国の環境規制の強化などで高効率・低公害エンジンの需要が高まっている」、後者が「新興国でのモータリゼーション(自動車の大衆化)が拡大している」とした。
単体で約1500人、国内外のグループ拠点も含めた連結で5500人を擁する同社。相模原市の本社は、エンジン・エナジー事業で「全世界の販売・生産・在庫を一元管理するマザー工場」の役割を担う。ターボ事業では、短期的にガソリンエンジン向け高機能ターボの開発、中長期的には国内外の自動車メーカーで先行開発が進められているというハイブリッド車用ターボの開発などを主導する。
また、同社はエンジンとターボチャージャーと相互に関連性の高いアイテムを扱う強みを生かした新組織「エンジン・ターボ開発センター」を設置。日産自動車(横浜市西区)の産業車両技術などの流れをくむユニキャリア(川崎市幸区)のエンジン部門のグローバルコンポーネントテクノロジー(同)、三菱重工の研究所などと一体でエンジン開発を加速させる。
全体の売り上げ目標は、2020年度に今年度計画値比の1・4倍の4500億円。花沢社長は「(自身の)海外での事業会社での経験、電力ビジネスの理解の強みを生かす。市場環境の変化は大きなチャンスと捉え、挑戦していきたい」と力を込めた。