
東京都港区から横浜市西区のみなとみらい21(MM21)地区に本社を移転する京浜急行電鉄。グループの一大プロジェクトとして品川駅周辺の開発に乗り出すなど、新たな転換期を迎える。原田一之社長(62)に、今後の事業方針や県内に拠点を置くメリットを聞いた。
-本社を横浜に移す狙いは。
「1日あたりの乗降客数は横浜駅が最多で30万人を超える。横浜市内の各駅乗降人員の総数は全体の40%を占め、まさに沿線の中心といえるのが横浜だ。品川や羽田空港は今後の成長の鍵ではあるが、本社を横浜に置くことで沿線全体に目配りできる利点がある。より広い範囲での発展の司令塔になると信じている」
「京急は87キロメートルの距離を走り、沿線はさまざまな顔を持つ。国際空港の羽田や品川、川崎という大きな町があり、横浜がある。南に進むと住宅街の上大岡、自然豊かな三浦半島へと続く。ビジネスも観光も住宅地も沿線に集約しているのが特徴だ。羽田空港と品川という二つの玄関口から沿線に結びつけることが非常に重要。横浜を拠点に交流人口の増加を図りたい」
-今後注力する事業は。
「収益構造を変革し、全体の利益の底上げと不動産事業の割合の向上を図る。交通事業が大きな割合を占めるが、これから高齢化が進むことを考えると沿線人口が減る可能性が高い。減った分をどこで補うか。マンション事業と賃貸オフィスの二つを柱にし、安定的な供給を目指す」
「まちづくりの核となる不動産事業を成長させることは、既存事業にもメリットをもたらす。沿線の魅力向上で各事業を一層拡大させ、大きく成長する好循環を生むことが理想」
-県内での計画は。
「品川の再開発がメインだが、県内でも至る所でまちづくりの展開が必要。4月に京急川崎駅直結の商業・宿泊施設の複合型ビルをオープンさせた。現在進めているのが金沢八景駅前の開発で、駅舎の改良とともに駅ビルの建設を検討している。京急鶴見駅では耐震補強工事とともに、高架下の商業施設をリニューアルする。来年夏にはオープンさせる予定だ」
-今後の展望を。