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日本総研主任研究員 池本美香さん
検証・アベノミクス(4)女性活躍 本気度、いまひとつ

経済 | 神奈川新聞 | 2016年6月24日(金) 12:24

池本美香さん
池本美香さん

 「女性の活躍」を国の成長戦略の中核に位置づけている安倍政権。女性活躍推進法を成立させるなど女性の社会進出支援を前面に打ち出すが、5月に発表された内閣府の「男女共同参画白書」では6割以上の女性が出産後に離職している現状が浮き彫りになるなど、課題が解消されたとはいえないのが実情だ。保育や労働政策に詳しい日本総合研究所(東京都品川区)主任研究員の池本美香さん(50)に聞いた。 

重要なテーマ化は評価

 -安倍政権の女性活躍支援をどう評価するか。

 「これまでは少子化対策に重点が置かれ女性活躍は後回しだったため、ようやく重要なテーマに据えたことは評価したい。女性活躍推進法の成立で企業が女性の登用に関する計画を公表する仕組みができるなど、ずいぶん進歩した。ただ、もっとワークライフバランス(仕事と生活の両立)を具体的に推し進める方策を検討する必要がある」

 「安倍政権が掲げた主な取り組みは3年育休や女性登用の企業への要請などだが、十分効果的とはいえない。女性の社会進出が遅れている背景には長時間労働の慣行と家事・育児が女性に集中している問題がある。女性活躍というと女性に変化を求めがちだが、目を向けるべきは男性の働き方、生活スタイルの改善だ。そこへの視点が乏しい」

 -具体的には。

 「ノルウェーでは9割に上っている男性の育児休業取得率が日本ではわずか2・3%。男性の1日あたりの家事・育児などの無償労働時間は、経済協力開発機構(OECD)の加盟国平均が138分なのに対し日本は62分と、ともに低水準にとどまっている。女性に負担が集中し、やむなく離職を迫られるケースが少なくない」

 「海外では家事など女性が担っている役割を男性がきちんと分担し女性の活躍を進めている。今の日本の長時間労働をベースに女性も活躍しろというのは現実的ではなく、気力、体力に限界が出る」

男性も時短勤務促進を

 -必要な施策は。

 「男性も数カ月単位などまとめて育児休業をとろうとすると、収入減や人事の評価など懸念が多い。例えば韓国などのように育児休業を時間単位で取得できるようにして、一定の給付を受けつつ勤務時間が短縮できるようにすれば、男性の育児シェアを高められると思う」

 「日本では3歳未満の子どもがいる場合に短時間勤務が認められているが、大半は女性が取得している状況。所得減少分を補填(ほてん)する給付を保証しつつ、男性に積極的に短時間勤務を促す施策が有効ではないか。選択肢を広げることで家庭の事情に合った働き方が実現できる」

 「日本にはまだ長く働けば働くほど評価される風土が根強い。『イクメン』などと男性の育児参加を促進する風潮は一定の評価ができるが、実際には男性の家事・育児参加を妨害する企業の『パタハラ』が問題になっている。女性への『マタハラ』同様厳しく取り締まる必要がある。欧州などのようにパートナーの出産日から一定期間の有給休暇が取得できる父親産休も日本では制度化されていない」

透ける旧来型の家族観

 -政府は2017年度までの待機児童解消を目指している。

 「保育所の増設はもちろん、保育の質の向上も重要な課題。質に不安があれば女性は働くことをためらう」

 「北欧など海外ではすべての子どもや家族を対象にした『普遍的な保育』なのに対し、日本は基本的に親の就労が利用条件で『保育に欠ける』子どもを対象としている。各国で就学前の保育や教育を重要な教育政策と位置づけ無償化も進むが、日本はその動きが鈍い。保育士不足が問題になる中、保育所の需要はさらに高まっていく。保育の量・質両面の充実に向けた投資は不可欠だ」

 「その一方で、3年育休や3世代同居を促進する政策を見ると、安倍政権からは依然として旧来型の家族観が透けて見える。『指導的地位に占める女性の割合を30%』などさまざまなフレーズは打ち出しているが、いまひとつ本気度を感じられない」

 -期待することは。

 「女性活躍をこれだけ話題にし、保育士の待遇改善に言及するなど一定の対策は講じているが、まだ詰めが甘い。女性活躍支援は子どもを持たずに男性並みに働き指導的地位に就くか、子どもを産んで仕事を抑えるかという二者択一を迫られているのが現状。

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