他にはない神奈川のニュースを!神奈川新聞 カナロコ

  1. ホーム
  2. ニュース
  3. 経済
  4. 「日本車関税38.5%に」 米大統領選トランプ旋風 県内企業広がる困惑

「日本車関税38.5%に」 米大統領選トランプ旋風 県内企業広がる困惑

経済 | 神奈川新聞 | 2016年6月7日(火) 02:00

トランプ氏の保護主義的な発言に、日本の自動車業界も困惑する=4月19日、ニューヨーク(UPI=共同)
トランプ氏の保護主義的な発言に、日本の自動車業界も困惑する=4月19日、ニューヨーク(UPI=共同)

 11月の米大統領選に向け共和党候補指名を確実にした実業家ドナルド・トランプ氏の台頭が、県内自動車産業に困惑を広げている。日本が米輸入牛肉に38・5%の関税を課す現状に対抗し、米国が日本車に課す関税を現在の2・5%から38・5%に引き上げると公言する同氏が、最新の世論調査で民主党のヒラリー・クリントン氏をリードし始めたからだ。発言は“選挙戦略”との冷静な受け止めもある一方、米国市場の行く末を案じる声も多い。

 「どれも理不尽。グローバリゼーションの時代にそぐわない」。県央地区の部品メーカーの幹部は、何かと物議を醸してきたトランプ氏の差別的かつ保護主義的な発言をこう切り捨てる。かつて米国赴任中に“不動産王”の異名を持つ同氏所有の超高層ビルを眺めたといい「経営者としては優秀な印象」。だが、その過激さにここまでの躍進は予想外だったという。「トランプ氏が大統領になるとは今も思っていない。でもまさかここまで上り詰めるとは」と困惑する。

 トランプ氏が大統領に当選すれば、発言は現実となるのか。「悪夢のようなショーを見せられているよう。とてつもない脅威だ」。県西部の部品メーカーは不安を隠さない。完成車メーカーを頂点に何層にも裾野が広がる自動車業界。関税が大幅に上がれば「日本の完成車メーカーの業績悪化は免れない。共に仕事をする部品メーカーも影響が及ぶのは避けられない」と考えるからだ。

 米国含め海外に複数拠点を持つ横浜市内の部品メーカー役員も「日本での完成車の減産につながる事態は無視できない」と語る。日本の部品メーカーは完成車メーカーの世界展開や為替リスクの回避などの目的から現地生産を進めてきた。しかし米国が有力市場ゆえ、完成車メーカーによっては日本国内で米国輸出向けを生産する比重が依然大きい現実もあり、国内での生産活動の重要性は変わらないという。「国内向けが伸び悩む中、輸出向け生産は重要だ。(関税引き上げは)日本の自動車産業全体に大きな影響を与える可能性がある」

 自動車消耗品を手掛ける横浜市のメーカー幹部は日米の自動車産業は“持ちつ持たれつ”だと話す。「完成車も部品も現地で生産し、現地で売る地産地消で、日本企業は米国の地域経済や現地雇用でも多く貢献しているはず。どうして日本企業を一方的に締め出そうとするのか」と嘆く。

 では完成車メーカーはどう見ているのか。日産自動車(横浜市西区)のある役員は、トランプ氏の発言が地方演説で飛び出したことに触れ、「それぞれの戦略もあってキャンペーンの意味合いも大きいはず。いちいち反応はしない」と冷静だ。

 その上で、日米も署名した環太平洋連携協定(TPP)では、日本が輸入する米国産牛肉への関税は段階的に引き下げられ、米国が輸入する日本車の関税も段階的に撤廃されることに言及。「私見だが、TPP推進を粛々と進めることが一つの方策にはなるのではないか」と語った。

 
 

大統領に関するその他のニュース

経済に関するその他のニュース

PR
PR
PR

[[ item.field_textarea_subtitle ]][[item.title]]

アクセスランキング