横浜銀行が13日発表した2016年3月期決算(単体)は、取引先の事業再生に伴う株式売却益の発生や倒産の減少などによる与信関係費用の大幅減を受け、純利益が7期連続で増加して前期比7・8%増の728億円となり、過去最高益となった。ただ、低金利や株価低迷の影響で売り上げにあたる業務粗利益は1・3%減の2016億円で2期ぶり、本業のもうけを示す実質業務純益は1・7%減の1022億円となり2期連続で、それぞれ減少した。連結純利益は前期の特殊要因の影響で2・2%減の745億円だった。
17年3月期の業績予想は、マイナス金利政策の影響で約90億円の減収を見込むほか、東日本銀行との経営統合に伴う先行投資などで、業務粗利益は5・7%減の1900億円、純利益は21・0%減の575億円とした。
16年3月期は、貸出量は増えたが金利低下が響き、資金利益は2・7%減の1507億円。手数料収入の役務取引等利益は1・4%減の416億円で高水準を維持。投資信託販売額は減少する一方、保険販売額が増加した。
倒産の減少や引当金の戻し入れなどで与信関係費用は46億円減少し、39億円の戻入益を計上。取引先の事業再生に取り組んだ結果、経常利益は6・2%増の1084億円となった。
3月末の貸出金残高は、2・3%増の9兆9882億円となり、海外店舗なども含めると期末として初めて10兆円を超えた。預金残高は3・6%増の12兆5494億円。県内シェアは貸出金が33・5%、預金が23・9%だった。不良債権比率は1・9%、自己資本比率は連結で12・7%。
寺澤辰麿頭取は、貸し出しが環境や健康関連などの成長分野で22・2%増となるなど「地域経済のために前向きな融資ができた」と強調。今後も注力するとした。