サスペンション大手、ヨロズ(横浜市港北区)の佐藤和己社長は7日夕、横浜市内でサプライヤーなどを招いた会社状況説明会で、新たに部品供給が決まった海外3車種を初めて明らかにした。新技術で部品の剛性を高めたり、大幅なコストダウンに取り組んだりしたことが受注につながったという。佐藤社長は「世界の主要メーカーへの拡販をさらに進める」と力を込めた。
3車種は、フランス自動車大手ルノーがインド市場で展開する小型クロスオーバー車「クウィッド」、韓国のルノーサムスン自動車の中型セダン「SM6」、スズキ子会社のインド自動車大手、マルチ・スズキ社がインドで手がけるコンパクトカー「バレーノ」。
供給するのは、いずれもアクスルビームと呼ばれる車軸関連部品で、クウィッドについてはその他の部品も複数受注した。車種ごとの年間生産台数はクウィッドが20万、SM6が5万、バレーノが17・8万台といい、既に部品供給の生産にかかっているという。
ヨロズは近年、自動車部品のグローバル供給体制を積極的に整備している。2010年以降にインドや中国など海外6拠点の工場稼働が加わったほか、米国第2拠点となるアラバマ州では生産ラインにロボットなどを大量導入した先端工場の整備を進める。昨年は、フランス・パリ近郊に欧州メーカーの情報収集にあたる事務所も設置し海外攻勢を強めている。
佐藤社長はさらに、ドイツ自動車大手ダイムラーから昨年、次世代グローバルカー向け足回り部品を初受注したことにもあらためて言及。「(ダイムラー社の)他のプロジェクトでも受注拡大を目指していく」と意欲を示した。
説明会では、当初500億円としていた15~17年度設備投資計画を640億円に引き上げたことを紹介。アラバマ工場の前倒し整備や金型・生産設備を供給する子会社ヨロズエンジニアリング(山形県)の増強が主な理由で「国内外での生産技術・開発力の向上にさらに力を入れていく」とした。