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災害時の命綱に ガス事業者と防災協定 小田原

経済 | 神奈川新聞 | 2016年2月4日(木) 02:00

小田原市と防災協定を締結した小田原ガス・西湘ガス産業の原社長(右)と、古川の古川社長(左)=小田原市役所
小田原市と防災協定を締結した小田原ガス・西湘ガス産業の原社長(右)と、古川の古川社長(左)=小田原市役所

 大規模災害時に被災住民の命の綱となるガスの供給を維持しようと、都市ガスやプロパンガスを供給する小田原ガス(小田原市扇町)とグループ会社の西湘ガス産業(同)、プロパンガスを販売する古川(同市寿町)の3社は3日、小田原市と防災協定を締結した。災害発生時に市に応急物資を提供するほか、市内の被災状況などを報告する。

 協定では、大規模地震が起きて都市ガスの供給が停止した場合、プロパンガスと空気を混合させて疑似的な都市ガスを製造する設備を病院や小学校、高齢者施設などに提供。併せてプロパンガスや飲料水なども供給する。また3社の社員は市内で目撃した被災状況などを自社を通じて市に報告する。

 締結式で加藤憲一市長は、「災害発生後に、被災者に温かい食べ物などを提供できるかどうかは命に関わる問題」と指摘。協定締結を「地域住民にとっても大きな安心になる」と感謝した。

ライバル2社手携え 背景に小売り自由化
 今回の防災協定は、小田原ガスの原正樹社長と、古川の古川剛士社長が昨年末、市に申し出たことがきっかけだった。競合するライバル同士の2人が地域の安全のために手を携えた背景の一つには、2017年に控える都市ガスの小売り全面自由化がある。

 都市ガスは、ことし4月の電力に続き、17年4月に小売りが自由化される見通しだ。従来の都市ガス会社以外の事業者も販売に参入できるようになるため、価格やサービス内容をめぐって企業間の競争が本格化する。地域事業者にとっては経営環境の厳しさが増すことになる。

 危機感を抱いていた2人は「昨年6月ごろから、こっそりと相談していた」。地域事業者として、顧客に提供できる価値は何かと自らに問い、「安心・安全や防災など、『お客さまの暮らし』を守ること」(原社長)という答えにたどり着いた。それが価格やサービスの充実とは一線を画す、地元企業ならではの強みになるはずとの確信があった。

 締結式で、原社長は「『被害を最小限にとどめる』という強い意志を持って取り組みたい」、古川社長は「経済の循環と災害に強いまちづくりを、先頭に立って進めたい」とそれぞれ意気込みを語った。

 
 

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